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2024年「お店のプラスチック調査」の報告
2024調査に向けた準備
2024年の調査では、多くの人に参加してもらい、前年より多くの店舗の調査データを集めるため、「買い物のついでにお店のプラ調査」をコンセプトに、調査参加者が普段の買い物時に、見たままを報告してもらうという位置付けで、店舗やチェーン本社の承諾の必要のない範囲で調査を実施することにしました。
そのため、調査データは地域単位で取りまとめ、店舗やチェーンごとの取りまとめはしないことにしました。
また、スマートフォンを活用し、グーグルフォームで作成した調査票にデータ入力し、店頭からデータ送信してもらうようにしました(後に、スマートフォンを使い慣れていない人向けの「紙版調査票」も作成しました)。
調査項目は以下の3点に絞りました。
- 店頭の資源回収(ペットボトルのみ)の設置と投入者へのポイント等還元の有無
- ⻘果物売場全体のはだか売り率(⻘果物売場全体で、はだか売りされている野菜・果物の面積比を目視で計測。7つの選択肢から回答してもらう)
- ⻘果物売場で5種の野菜・果物のはだか売り率(2023年は10種の野菜・果物を対象にしましたが、2024年は5種に減らしました。それぞれ店頭で販売されている品目数と、はだか売りされている品目数を数えて、選択肢から入力してもらいました。)
昨年の調査成果を活かした自治体への働きかけ
2024年5月、しがローカルSDGs研究会事務局と環境市民で、滋賀県琵琶湖環境部に昨年の調査結果報告に行きました。そこで、サッカー台のプラ袋の適量利用呼びかけの掲示が全国的に少なく、呼びかけ掲示物の作成を提案しました。県はこの提案を受けいれ、呼びかけステッカーを作成してくれました。
図1と図2は、滋賀県が作成したステッカー(大小2種のサイズが作成された)。


調査の実施
2024年5月以降、前年調査の結果報告とともに、9月以降実施する「お店のプラスチック調査2024」の紹介と参加を促すため、各地の団体等に呼びかけ、20回以上説明会を行いました。9月21日には京都市内で、「プラ削減活動リ スタートのつどい」と題したイベントを開催(主催NPO法人環境市民)し、「お店のプラ調査」の紹介だけでなく、関西で活躍する市民団体・学生グループに集ってもらい、減プラの機運を盛り上げました。
調査には一部有志の参加を含めて、全国40団体以上の協力を得ることができました(図3)。この他、多くの方が個人で参加してくださいました。

お店のプラスチック調査2024 参加団体(テキスト版)
- 環境り・ふれんず(北海道 札幌市)
- 札幌友の会(北海道 札幌市)
- 札幌第二友の会(北海道 札幌市)
- 札幌第三友の会(北海道 札幌市)
- 弘前友の会(青森県弘前市)
- ACT53仙台(宮城県仙台市)
- 福島県消費者団体連絡協議会(福島市)
- 環境問題を考える会(栃木県 下野市)
- 小山の環境問題を考える市民の会(栃木県 小山市)
- 容器包装の3Rを進める全国ネットワーク有志(東京都)
- 北東京生活クラブまち石神井(東京都 練馬区)
- 江戸川・生活者ネットワーク(東京都 江戸川区)
- 東海大学教養学部落合由紀子ゼミ(東京都)
- 大正大学地域創生学部岡山朋子ゼミ(東京都)
- 小平・環境の会(東京都 小平市)
- 山梨マイクロプラスチック削減プロジェクト(山梨県)
- みどりの市民(長野市)
- 浜松市消費者団体連絡会(静岡県浜松市)
- 中部リサイクル運動市民の会(名古屋市)
- しがローカルSDGs研究会(滋賀県)
- ビワコ・ゼロ・ウェイスト(滋賀県)
- 滋賀県地球温暖化防止活動推進員有志(滋賀県)
- 環境市民(京都市)
- 京都市ごみ減量推進会議(京都市)
- エコ〜るど京大(京都市)
- 新婦人の会京都市右京支部(京都市)
- くるん京都(京都市)
- 同志社大学原田ゼミ(京都市)
- 環境保全ネットワーク京都(京都市)
- 福知山環境会議(京都府 福知山市)
- プロジェクト保津川(京都府 亀岡市)
- アジェンダ21すいた(大阪府 吹田市)
- 千里リサイクルプラザ 市民とお店プロジェクト
- (大阪府 吹田市)
- 大阪産業大学花嶋温子ゼミ(大阪府 大東市)
- エコネット近畿有志(大阪市 中央区)
- アースパルKOBE(神戸市)
- ひょうご海ごみ講座実行委員会(兵庫県)
- 高松友の会(香川県高松市)
- くらしを見つめる会(高知市)
- 北九州友の会(福岡県北九州市)
- 福岡友の会(福岡市)
- 熊本友の会(熊本市)
- 沖縄リサイクル運動市民の会(那覇市)
- コラコラCoral Collabo(沖縄県 石垣市)
ここに掲載した他、個人参加多数
11月末まで調査を行い、北は北海道礼文島から南は沖縄県石垣島まで40都道府県1,300店の調査データが届きました(図4)。うちスーパーマーケットだけでも1,240店に達しました(重複調査店を除いて1,180店)。

送られたデータから、調査項目別(ペットボトル資源回収箱およびポイント等還元の有無、青果物売場のはだか売り率)、地域別(全国と東西日本、地方別、県別など)に取りまとめ、調査店舗数の多い県は、市町村別にまとめ、調査参加者に送付しました。
調査の結果
PETボトル回収箱の調査結果
PETボトル回収箱は6割以上の店に設置されていましたが、うち空ボトルを投入した人に、ポイント等を提供している店は、調査店全体に対して7.6%にとどまりました。
また、回収箱設置率、ポイント還元の有無、いずれも東日本の方が高いことが明らかになりました(図5)。

PETボトル回収箱の調査結果グラフ (HTML版)
区分 | PETボトル資源回収箱 | 調査店数 (スーパーのみ、重複調査店を除く) | ||
---|---|---|---|---|
回収箱あり ポイント等還元あり | 回収箱あり ポイント等還元なし | 回収箱なし | ||
日本全国 | 90店 | 628店 | 462店 | 1180店 |
7.6% | 53.2% | 39.2% | ||
東日本 | 50店 | 236店 | 146店 | 432店 |
11.6% | 54.6% | 33.8% | ||
西日本 | 40店 | 392店 | 316店 | 748店 |
5.3% | 52.4% | 42.2% | ||
北海道地方 | 1店 | 9店 | 8店 | 18店 |
5.6% | 50.0% | 44.4% | ||
東北地方 | 2店 | 36店 | 21店 | 59店 |
3.4% | 61.0% | 35.6% | ||
関東地方 | 31店 | 100店 | 85店 | 216店 |
14.4% | 46.3% | 39.4% | ||
北信越地方 | 4店 | 18店 | 11店 | 33店 |
12.1% | 54.5% | 33.3% | ||
東海地方 | 12店 | 73店 | 21店 | 106店 |
11.3% | 68.9% | 19.8% | ||
近畿地方 | 30店 | 325店 | 265店 | 620店 |
4.8% | 52.4% | 42.7% | ||
中国地方 | 4店 | 24店 | 9店 | 37店 |
10.8% | 64.9% | 24.3% | ||
四国地方 | 3店 | 30店 | 7店 | 40店 |
7.5% | 75.0% | 17.5% | ||
九州・沖縄 | 3店 | 13店 | 35店 | 51店 |
5.9% | 25.5% | 68.6% |
青果物売場のはだか売り率
青果物売場では、売場全体のはだか売り商品の比率(目視)は、全国平均で12.5%でした。地域別にみると、東日本の平均が13.1%、西日本が12.1%でした。地方別の結果は図6をご覧ください。

青果物売場のはだか売り率グラフ (HTML版)
調査 店舗数 | 売り場のはだか売り 棚面積比(目視) | ||
---|---|---|---|
青果物売り場 全体のはだか売り商品率 | はだか売り面積21%以上の店の割合 | ||
全国 | 1240店 | 12.5% | 11.9% |
北海道 | 18店 | 16.7% | 33.3% |
東北 | 63店 | 12.2% | 7.9% |
関東 | 228店 | 13.3% | 14.5% |
北陸・長野 | 33店 | 9.7% | 0.0% |
東海・山梨 | 109店 | 13.4% | 15.6% |
東日本計 | 451店 | 13.1% | 13.5% |
近畿 | 655店 | 12.0% | 10.7% |
中国 | 37店 | 13.5% | 16.2% |
四国 | 45店 | 10.9% | 4.4% |
九州・沖縄 | 52店 | 12.5% | 15.4% |
西日本計 | 789店 | 12.1% | 10.9% |
売り場で売られていた はだか売り商品の 割合(品目数比:実測) | 《参考》 5品種の はだか売り率を単純平均すると | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
じゃがいも はだか 売り率 | にんじん はだか 売り率 | きゅうり はだか 売り率 | ほうれん草 はだか 売り率 | バナナ はだか 売り率 | ||
全国 | 16.7% | 9.9% | 34.8% | 1.8% | 1.8% | 13.0% |
北海道 | 20.7% | 9.4% | 35.0% | 3.1% | 3.6% | 14.3% |
東北 | 17.3% | 18.4% | 36.3% | 5.1% | 2.9% | 16.0% |
関東 | 17.6% | 9.3% | 36.3% | 2.3% | 1.7% | 13.5% |
北陸・長野 | 12.6% | 11.1% | 23.3% | 0.0% | 0.9% | 9.6% |
東海・山梨 | 20.7% | 15.9% | 39.2% | 2.0% | 3.0% | 16.2% |
東日本計 | 18.1% | 12.5% | 36.0% | 2.6% | 2.3% | 14.3% |
近畿 | 16.5% | 8.2% | 36.2% | 1.4% | 1.6% | 12.8% |
中国 | 19.8% | 16.4% | 36.4% | 0.0% | 1.3% | 14.8% |
四國 | 9.8% | 9.0% | 31.5% | 0.0% | 1.3% | 10.3% |
九州・沖縄 | 8.5% | 6.6% | 13.3% | 3.0% | 1.0% | 6.5% |
西日本計 | 15.9% | 8.5% | 34.2% | 1.4% | 1.5% | 12.3% |
5種の野菜・果物(じゃがいも、にんじん、きゅうり、ほうれん草、バナナ)の店頭商品数とはだか売り商品の比率でも、全ての品目で東日本の方が、西日本よりはだか売り率が高いことがわかり、「プラ包装の西高東低」の傾向が明らかになりました。
また、ほうれん草とバナナのはだか売り率が全国平均で、ともに1.8%しかなく、ほとんどがプラ包装されて販売されている実態も明らかになりました(図6と図7)。

調査参加者の感想
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調査結果の報告
調査の結果を多くの人に知ってもらうため、2025年1月後半以降、環境首都創造ネットワーク京都大会(京都市内)や第19回容器包装3R推進フォーラム(東京都文京区)など10ヶ所あまりで「お店のプラ調査」の結果を紹介する機会を得ました。
3月25日(火)には、環境市民主催で、全国の調査参加者に呼びかけ、北海道から高知県まで約20団体に京都市内に集ってもらい、「お店のプラ調査」調査報告&全国交流会を開催しました。
12時30分開始の「第一部」は、一般も対象とした調査結果報告の場とし、15時30分開始の「第二部」は、おもに調査参加者を対象に、環境市民をはじめ、各地で予定されている「次の活動」の紹介や、今後の取組などを議論しました。
コロナ禍以降、ZOOM等オンライン会議が普及し、遠方の人たちとの交流や情報交換が容易になりました。しかし、対面での交流はオンラインとは次元の違う成果をもたらします。この時には、環境活動に熱心な企業の他、京都市や京都府の職員、パタゴニア京都店スタッフなど多様な人たちが参加してくださり、熱い議論と交流が生まれました。
調査から見えたこと、今後の課題
2024年の調査で、日本のスーパーマーケット等店頭の青果物のはだか売り(無包装販売)率は10%台前半で、90%近くがプラ包装されていることを明らかにしました。
また、東日本(中部地方より東)の方が、西日本よりプラ包装が少ないことも明らかになりました。ただし、この要因が何か、そこまではこの調査ではわかりません。
ほうれん草、バナナのように、多くの消費者が気づかないあいだに、はだか売り(無包装販売)が少なくなっている品種があることも明らかにしました。
青果物については、店頭プラ包装の実態が明らかになりました。次は、一連の調査成果を活かし、「減らす活動」に結びつけることです。