大震災から一ヶ月 影響はこんなところにも。今年は会えない「春の妖精」 | 認定NPO法人 環境市民

大震災から一ヶ月 影響はこんなところにも。今年は会えない「春の妖精」

このコーナーは,2002年から2013年まで環境市民の事務局長を務めた堀孝弘が,在職時に書いたブログを掲載しています。

大震災から一ヶ月 影響はこんなところにも。今年は会えない「春の妖精」

 

大震災から一ヶ月になります。被災された方々にはとても長く厳しい一月だったと思います。4月12日には、TASUKI第2便を東北に送り出す手はずになっています。この後も何らかのかたちで、被災地支援を続けていきたいと思います。

 

さてさて、2011年4月3日(日)、環境市民が京都西山に借りている里山に行くエコツアーを企画していました。案内役には「歩く植物図鑑」の異名があるほど、フィールドワークを盛りあげてくださる夙川学院短期大学教授 片山雅男さんにも来てもらう段取りになっていました。

 

借りている里山の一角に京都近郊では珍しくなった落葉広葉樹林があります。クヌギやコナラを主とした林で、春先の林床はとても明るく、4月のはじめ、一面に「春の妖精(Spring ephemeral)」が咲き誇ります(なんという花かは、写真を見て確認を)。

 

京都近郊の山は、多くが常緑の照葉樹林。林のなかは冬でもうす暗くなります。ここの林は、北向きだったこともありますが、40年ほど前まで薪や炭を採っていた薪炭林で、人の手が入ることで、常緑林にならず、落葉樹林が維持されました。

数haの決して広大ではない空間ですが、明るい林が維持されて、そのことで、命をつないでいる植物がいます。

 

自然の微妙なバランスに人がどのように関わるか、同時に人が自然の資源(薪や炭)を利用することの意味、バイオ資源活用の可能性なども考える場としても、この林を活用しています。

 

16年前の1995年には、借りている空間の尾根筋にボランティアの力で山小屋も建てました。山小屋の屋根にはソーラー発電機を設置、雨水タンクも設けました。今年2月にはトイレの改修、屋根に積もった落ち葉の撤去、看板の設置、付近の清掃、雨水タンクの改修などをして、4月のイベントに備えました、

 

そんなこんなで、企画も定員に達した3月大震災が発生。申込者のなかにも「春の花を見にいく気持ちになれない」とキャンセルを申し出られた方もありました。それだけ被災者の気持ちを汲まれたことと思い、共感をもってキャンセルを受けさせてもらいました。

 

世間は「自粛ばやり」。でも、なかには「自粛にしないと世間体が悪い」など、評判を気にした「自粛」もあるようです。なので意地でも開催したかったのですが、4月2日(土)、3日(日)は、被災地支援物資の整理に負われることや、堀自身東北からの帰還がその頃にずれ込む可能性があったため、4月3日(日)の京都西山へのエコツアーは中止せざるを得ませんでした。

 

「春の妖精(Spring ephemeral)」はこの時期だけの花。今年は会えなくても、来年また。