避難生活・被災地支援活動の際に 放射線被害を少なくするための注意事項 | 認定NPO法人 環境市民

避難生活・被災地支援活動の際に 放射線被害を少なくするための注意事項

2011年3月25日(金)

東北地方太平洋沖大地震での避難生活、復興活動および被災地支援活動は、これまでの災害と大きく違い、福島原発の大事故への対応も伴うことに注意が必要です。原発の事故状況と注水作業、外部電力との接続活動などが連日報じられ、大きな危機が去ったような報道も見受けられますが、政府の公式発表でもまだまだ予断を許さない状況となっています(3月24日現在)。

「原発事故は終わっていない・終息までにはかなりの時間が必要」「事故の影響は長期間、広範囲におよぶ危険性が高い」「状況によっては人体にも影響が及ぶ」、これらのことを忘れないでください。そのうえで十分な準備と情報を入手し、状況の変化に対して慌てずに適切な対処ができるようにしてください。

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1 放射線汚染に関する基礎情報

(1) 放射線汚染状況の把握
今後どのようなことが起こるか、まだ予断は許されない状況です。原発から30km以上離れていても、風向き、天候などの影響で、思わぬ遠方で放射線濃度が高まる可能性があります。「SPEEDI」と呼ばれる「放射能影響予測ネットワークシステム」による予測情報がまだ公表されていませんが(3/24現在)、これが公表されるようになったら、ぜひ情報を入手するようにしてください。特にこれから現地支援に行かれる人は、念のため、グループや活動拠点ごとに放射能検知機を持っていくことをおすすめします。またこれは数時間から半日後の発表になりますが、文科省の放射線モニタリングデータが公開されていますので、参考にしてください。
http://eq.sakura.ne.jp/またはhttp://eq.wide.ad.jp/など

(2) 天気、風向きの把握
復興活動、支援活動、また生活行動中は天気や風向きをできる限り把握し、福島原発から風下になる場合は、活動時間に気を付け、また放射能線検知機がある場合は、データの変化に十分注意を払うようにしてください。特に風下で雨が予測される場合は、下記の服装の注意を確認してください。

(3) 乳幼児、子ども、若い人への影響と配慮
子供や若い人ほど、将来的な甲状腺がん等の発症など放射能汚染による影響を受ける危険性があります。現地では、子どもたちも被災者支援ボランティアとして頑張ってくれています。また支援ボランティの中にも大学生など若い人が多いと思われます。本人はもちろんですが、まわりの大人たちが上記の2)や3)を理解し、注意を促してください。

2 放射線被害を少なくするための服装

4月に入ると暖かい日もありますが、肌の露出をできるだけ少なくしてください。仮に放射線がほとんど検出されない地域でも、被災地での作業は塵ほこりを吸い込む危険性が高く、湿らせたマスク、タオルが役立ちます。また帽子や防塵用メガネの着用もお薦めします。
行動中に放射能物質が付着する場合に備えて、下記のような服装をおすすめします。

□雨具(カッパ)
(放射性物質を落としやすくするため、表面がつるつるした素材のものが望ましい。できればフード付き)
□帽子など頭を覆うもの(放射線は髪の毛に溜まる)
□マスク・タオル(放射性物質が鼻や口から入る内部被曝を防ぐため、濡れタオルで鼻や口を覆う。放射性物質は非常に小さいのでマスクは常に湿らせておくことが肝要。そのために薬用などの小さなスプレーの空き容器に水を入れて携帯しておくとよい)

3 被災地支援に行く人に持参してもらいたいもの

□ガムテープ(屋内待機用:窓や換気口の密閉に使用)
□医薬品(絆創膏:放射能は傷口からも入るので念のため持っておく)
□地図
□方位磁針(放射線汚染を避けるためには風上に移動する必要がある)
□できればスマートフォンと充電器(充電池)
□40歳までの方は、昆布、またはとろろ昆布★
□放射線検知機、放射線警報機(活動拠点ごと、グループごとでも)
★甲状腺を安定ヨウ素で飽和させておくと、放射性ヨウ素の吸収を防ぐことが期待できます。ヨウ素を多量に含む食物に昆布、とろろ昆布があります。これらを少量毎日摂ることをすすめます。なお、もともと甲状腺に何らかの障害のある人は摂取に注意が必要です(「放射能で首都圏消滅ー誰も知らない震災対策」三五館などより)。

4 万一、外にいるときに放射線汚染にさらされていることがわかったら

とにかく、まわりの屋外におられる方に呼び掛けて、屋内に退避してください。

屋外にいて退避するまで

・濡れたタオルやマスクなどで口や鼻を覆う。
・常に帽子、長袖の服、手袋などで露出を防ぐ。
・雨には、放射性物質が含まれている可能性があるため濡れないように十分に注意する。濡れた場合は、衣服を脱いで、湿らせたタオルで体をふく。髪の毛はよく拭き、ブラッシングをする。できればシャワーを浴びる。

●屋内退避の注意点
放射性物質が飛散している外気が室内に入らないよう、窓を閉め、エアコンや換気扇も切ってください。また、隙間がある場合は、ガムテープで隙間を防いでください。

●もし万一、被曝したと思われる場合の対応
まずは、衣服を脱ぎ、ビニル袋に入れて廃棄してください。また、身体を濡れた布でふくか、シャワーをできる限り早く浴びてください。医療機関、役所等とすぐに連絡をとってください。

参考:食品と暮らしの安全 1999年11月1日、NPO(特定非営利活動法人)チェルノブイリ救援・中部による情報