原発事故後の会見、なんじゃこれは! | 認定NPO法人 環境市民

原発事故後の会見、なんじゃこれは!

このコーナーは,2002年から2013年まで環境市民の事務局長を務めた堀孝弘が,在職時に書いたブログを掲載しています。

こんにちは こちら事務局長の堀です。しばらく忙しくてブログ更新できていませんでした。すみません。3月11日に発生した東北関東大地震以降、被災地の皆さんのご苦難に言葉がありません。関西・名古屋に事務局を置くNGOとして、今、何ができるか模索中です。

多くの人が、地震後の福島第一原子力発電所をはじめとする原発事故に関する、政府および政府関係機関、東京電力の説明に対して、不安やもどかしさを感じてらっしゃることと思います。特に東京電力や「原子力安全・保安院」の説明について、情報量の少なさ、わかりにくさ、説明時の姿勢に不誠実さを感じた人も多いと思います。

そのようななか、福島第一原子力発電所1号機、3号機建屋の水素爆発につづき、3月15日午前6時10分頃(本稿執筆の最中)に、2号機において原子炉格納容器に損傷が発生した可能性のある爆発がありました。これまでの建屋の損傷とはレベルの違うもので、状況はたいへん深刻なようです。その後3月15日午前8時から原子力安全・保安院の会見があり、8時半からは東京電力の会見がありました。原子力安全・保安院の会見は、事故の深刻さよりも、技術的かつ構造的な説明が続き、もどかしい、よくわからないものを感じました。

そもそも原子力安全・保安院という機関があることを、この事故で初めて知った人も多いと思います。原子力安全・保安院とは経済産業省の一機関で、資源エネルギー庁の「特別の機関」という位置づけになっています。原子力発電を推進しようとする省の「一機関」であることがわかると、このような事故時の説明がもどかしくなっている理由がわかります。ただ、それでは困ります。本当に。
ちなみに、原子力安全・保安院WEBサイト(ホームページ)の「原子力災害発生時の住民としての対応」にどのようなことが書いてあるか、下に引用・転記します(引用後にもコメントを載せています)。

原子力安全・保安院 WEBサイト 「原子力災害発生時の住民としての対応」より以下引用
『原子力発生時の住民としての対応 防災のしおり
原子力災害とは、原子力発電所等において放射性物質 (放射能)や放射線が漏れてしまい、 国民の生命、身体又は財産に被害が生じることを言います。
しかし、実際には、多重の防護設備や万一の事故時における教育を十分に受けた運転員等の的確な対応などにより、そのような事態に至ることは殆ど考えられません。
万々が一、事故が発生して、放射性物質が放出されるような事態になったと想定した場合でも、住民の皆さんの健康に影響を与え得るほどの量が放出されるまでにはかなりの時間があります。 国・自治体から出される情報を正確に入手し、落ち着いた行動をとることが重要です。』(引用ここまで)
上記の出典 http://www.nisa.meti.go.jp/genshiryoku/bousai/taio.html(2011.3.12現在)

以降、再び堀コメント
今回、その「ほとんど考えらない」ことが起きました。原子力安全・保安院WEBサイトには「高い使命感で職務を遂行する」旨、記されています。ですが、「ほとんど考えらない」という認識が、事故時の説明に際して、どのような情報(量と質)を、どのような態度・態様で、どのような資料を用いて説明すれば、国民の納得が得られるか、日頃から説明内容や手順の確認などを怠っていたとしか思えません。とても「高い使命感で職務にあたってきた」と思えません。なにより、国民、地域住民の立場に立った説明責任の自覚を持ち得てなかった、そのように感じさせられます。

3月15日午前8時半すぎから、東京電力の会見が始まりました。この会見も「言っていいことの範囲内で話している」という感があります。会社の都合や保身、原発への批判回避などでなく、たいへんな状況であるという自覚のもと、国民や地域住民の安全を何より優先した姿勢・対応が求められます。
 

これまで電力会社の原子力発電の広告は、「発電時CO2を発生させない」ことばかりを強調してきました。このようなリスクのあることを意図的に伝えてこなかったのは、そのような広告に出演していたタレント・有名人を含めて大きな責任があると思います。いずれ問われなければならないでしょう。