温室効果ガス新削減目標に強烈な既視感 | 認定NPO法人 環境市民

温室効果ガス新削減目標に強烈な既視感

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

これまで日本が掲げていた2030年度までの目標は「2013年比26%減」。
そこからは確かに大幅な引き上げではありますが。

パリ協定では、世界の平均気温を産業革命前と比較して2℃より十分低く、
可能なら1.5℃に抑える努力が求められました。
そのためには、世界全体で2030年までに2010年比45%削減する必要がある
というのが国連の試算です。

日本の新目標の基準年を2010年に合わせれば、41%の削減となり、
達成すべき目標には届いていません。
他の先進諸国が発表している目標削減率にも及びません。
独立系の国際シンクタンクであるクライメート・アクション・トラッカーによると、
日本がパリ協定の目標を達成するためには
2013年比なら62%以上の排出量削減が必要と言います。
そのため、気候変動問題に取り組むNGOからは、
目標が不十分であるという声明が相次いでいます。
若者世代も声を上げています。経産省前で抗議のスタンディングや
ハンガーストライキが行われています。

こういったことを見ていると、
1997年の京都議定書の採択を見守っていた身としては、強烈な既視感に襲われます。
あの頃は1990年レベルから何%削減するかという議論でした。
海面上昇の影響を大きく受ける小さな島々の連合(AOSIS)が
2005年までに20%削減と主張していたのに対し、日本はまさかの0%の回答。
私たち市民は、大きな削減目標を掲げよと日本政府に強く要求をしていたのでした。
あれから二十数年、当時とまったく変わらない政府の先見性のなさや姿勢に、
世界の国々からあらゆる面で後れを取ってしまった平成という停滞の時代を感じざるを得ません。

当時と違うのは、気候変動対策にはもはや一刻の猶予もなく、
すぐに結果を出していかなければならないということ。
さもなくば1.5℃を易々と超え、単に世界中から非難を浴びるだけでなく、
自然から大きなしっぺ返しをくらうことになるでしょう。
そのダメージの大部分は若い世代が受けることになります。

誤った道を引き返すための、今が本当にラストチャンスです。
私たちは市民として、政府や企業にしっかり声を届け、行動を促していきましょう。
(げの字)

●参考情報(外部サイト)
サステナブル・ブランド ジャパン:
欧米に並ぶ気候変動のリーダー国になるために、日本は2030年温室効果ガス削減目標を最低50%以上に
ハフポスト日本版:
気候変動を止めるため、若者らがハンガーストライキ。日本政府への抗議広がる
YAHOOニュース:
日本の気候変動対策に欠けているもの 我々は若者の声に学べるか

<執筆者紹介>
ペンネーム:げの字
環境市民の設立3年目からの会員で、かつて事務局スタッフとして広報や環境教育を担当。
プロジェクト運営支援などで(スポーツバイクで)駆け回る日々を過ごす。ベジ料理と家庭菜園が趣味。