米国離脱でも止まらない気候変動対策 | 認定NPO法人 環境市民

米国離脱でも止まらない気候変動対策

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

離脱する。
と、今月頭、トランプ米大統領が選挙公約どおりに、
地球温暖化防止の枠組みであるパリ協定から一抜けすることを表明。

温暖化はデマだ、温暖化対策は米国経済を後退させる、との主張に、
なんという時代錯誤なと口をあんぐり開けていたけれど、
もっと驚いたのは、まわりの反応。
この決定は、当の米国経済界からも猛反発を受けた。

2001年、やはり同じ台詞を聞いた。
離脱する、と。
当時のブッシュ大統領が、温暖化防止の最初の国際的な枠組みの
京都議定書に参加しないと表明したときだ。
あのときはまだ、温暖化懐疑論も米国内には根強かったと思う。

それが16年経ってみて、どうだろう。
トランプ決定に、時代に敏感なIT産業のみならず、
数年前までは歓迎していたはずの石油業界までもが不支持に回った。
アップル、グーグル、マイクロソフト、ゼネラルエレクトリック、
ゴールドマンサックス、テスラ、ディズニー、IBM、シェルなど
名だたる企業が直ちに非難したりパリ協定支持を表明している。

自治体も黙ってはいない。
環境意識の高いカリフォルニア・ワシントン・ニューヨークの3州が
「米国気候連合」を結成するなど、
独自に温暖化対策を進めていくことを表明したまちが続々と現れている。

もちろん国際的にも、この宣言は非難を浴びた。
ブッシュ元大統領は京都議定書には途上国等が参加していないと不満を呈していたが、
パリ協定には途上国も新興国も参加していて、
一様に冷ややかに受け止めている。

気候変動による悪影響は、目に見えて大きくなってきている。
もう否定すること自体が非現実的になってきたのだろう。
もはや、世界の動きは止まることはない。
被害を考えると遅すぎるとはいえ、この流れを歓迎したい。
(げの字)