避難の在り方の再点検を | 認定NPO法人 環境市民

避難の在り方の再点検を

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

本年1月1日16時10分頃に発生した「令和6年能登半島地震」では、地震発生直後に、気象庁は石川県能登に大津波警報を、山形県から兵庫県北部にかけての日本海沿岸に津波警報を発表しました。

私の知り合いが住む地域には、波高3mの津波が17時に到達するという予報が出されたため、住民はすぐに高台に避難したのですが、実際、この時刻前後にはっきりとした津波は観測されませんでした。
そこで、住民たちは、18時頃から自宅に戻り始めたとのことです。

しかし、この地域で津波の最大波高が観測されたのは19時20分。
テレビでも繰り返し、
「第1波よりも第2波、第3波の方が、波高が高いことがあります」
と注意を呼び掛けていたとおりになりました。

幸い、波高は0.4mに過ぎず、被害はほとんど起きませんでした。
しかし、土地の勾配が緩やかなこの地域では、
沿岸から10km以上離れた市街地でも20時に川の水位が急上昇しており、
津波の影響がうかがわれました。

津波警報は地震発生直後から1月2日未明まで継続されましたが、
この地域の中には、避難指示を出さなかった市があります。
その理由として、
「厳寒期の夜間に屋外や高台への避難を呼び掛けることになるため、
その危険性などから判断して避難指示は出さず、防災行政無線やSNSなどで、
海岸部におられる方に対して直ちに避難していただくように繰り返し呼びかけた。」
と説明しています。
皆さんはどう思われるでしょうか。

日本は地震が多い国です。
いつ、自分が巨大地震の被害に遭ってもおかしくないのですから、
今回、被害が少なかった地域においても、
避難指示の発令や自宅へ戻るための判断基準を、
今一度、点検する必要があります。(くらげ)

<今週のコラムニスト>
ペンネーム:くらげ

小さい頃から、曲線に心惹かれています。海も空も曲線が美しい。
曲線が持つ無限のバリエーションはすばらしく、変化する様子は見飽きません。
曲線への興味を通じて、気候の勉強を始めたような気がします。
いつまでも、きれいな曲線を残したい。