休眠打破 | 認定NPO法人 環境市民

休眠打破

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

春になると、多くの人が思わず見惚れる景色をつくってくれる桜ですが、
季節に美しく咲くためには「休眠」した後、
目覚めることができる環境(気象条件)が大切です。

桜の木は気温が下がってくると自ら葉を落として、
生命活動を最小限に抑える状態となり、夏につくられた花芽も休眠に入ります。
その後、休眠期間に低温(−5〜15℃)にさらされることで刺激を受け、
「休眠打破」という眠りから覚める大切な時期を迎えることができます。
休眠打破後の桜の花芽は成長してゆき、気温の上昇とともに開花へ向かいます。

しかし、この低温期間が温暖化によって曖昧になると、
「休眠打破」が充分に行われなくなることが研究でわかっています。
休眠打破が充分でないとどうなるのかというと、
桜はまだ生長(発育)しなくてよいと勘違いしてしまいます。
そのため生長がスムーズに進まず開花が遅れてしまうのです。
また、冬の寒さが足りずに休眠打破が遅れると、九州の一部など温暖な地域では、
うまく開花しなかったり、開花しても「だらだら」と咲いて
満開にならないこともあるだろうと予測されています。

実は、昨年11月の気温が高めとなったため
休眠打破のタイミングが遅れたところが多くありました。
でも、その後の春先の気温が平年より高めとなったことから順調に生長でき、
今年の桜は、開花日や満開となった日が記録的な早さとなったところもあったようです。

人間の勝手で自然の移ろいを、これ以上脅かさないよう、
自然や季節を感じられる地球環境をいつまでも保てるよう、
一人ひとりの真剣な行動がさらに重要になっています。

【出典】
環境省:地球温暖化で桜の開花に異変!?

【参考】
気象庁:生物季節観測の情報

日本気象株式会社

<今週のコラムニスト>
ペンネーム:イバラノカンザシ

ドリトル先生に憧れ、海の中の生きものといつか話ができることを夢見て世界の海に潜り続けています。
最近、海の中にいると一瞬エラ呼吸できそうな気分になります。