卵が高すぎる? 適正価格はいくら? | 認定NPO法人 環境市民

卵が高すぎる? 適正価格はいくら?

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卵は物価の優等生と言われ、物の値段が上がる中でも、
最近まで安さを維持してきました。
手軽に栄養がとれ、彩りも添えてくれるので、
冷蔵庫に常備しているお家も多いのではないでしょうか。
その様相が大きく変わったのは今年の2月でした。
1パックが300円を軽く越えるようになり、
値上げラッシュに苦しむ家庭から悲鳴が上がっています。

卵の値上げの背景には、鳥インフルエンザの流行による
鶏の殺処分と、飼料となる穀物の価格が
ロシアのウクライナ侵攻によって高騰したことがあります。
暖かくなることで産卵数が増え、
鳥インフルエンザが落ち着けば少しは値段も落ち着くでしょう。
しかし、一般的な養鶏場で鶏たちが食べているのは
「二種混」と呼ばれる配合飼料で、輸入されたトウモロコシなどです。
日本経済が弱くなり円安が進むことや、
気候変動や国際情勢の悪化等により今後、
安定的に安価な飼料が確保できなくなることも考えられます。

さて、わが家がいつも購入している卵は、
安全農産供給センターが取り扱っているものです。
この会社の母体となるNPO法人使い捨て時代を考える会は、
京都で生まれて50年。
日本に有機農業という言葉が生まれた時期でした。
設立から一貫して社会運動として有機農業を広めてきています。
本来、有機農業とは、単に化学肥料や農薬を使わない農業というだけではなく、
その場にあるものを有効に使って行うものでした。
卵の生産も例外ではありません。配合飼料でなく、くず米や米ぬか、
醤油粕など、その地域で入手できる飼料によって鶏たちは育てられています。
鶏舎も開放的で、身動きならないケージに閉じ込められ
「産む機械」にさせられている普通の養鶏所とは違い、
鶏たちは広い空間を走り回って元気で幸せそうに育っています。
この卵が通常、1個43円。スーパーで見慣れているものとは段違いの高値ですが、
持続可能な循環農業で生産されていると考えると当然と思えます。
いや、普通に売られている安い卵は、いったいどうしてそんなに安いのか、
高い環境負荷と命の尊厳に目をつぶるから可能になったものと言わざるを得ません。

卵が高くなっている今だからこそ、その生産現場のことに思いを馳せて、
卵との付き合い方を考えてみてはいかがでしょうか。
(げの字)

(参考)
安全農産供給センターの取組(外部サイト)

<執筆者紹介>
ペンネーム:げの字
環境市民の設立3年目からの会員で、かつて事務局スタッフとして広報や環境教育を担当。
田畑を耕すことや、有機農産物を扱う会社でパートも経験。
まっとうな食べものがまっとうな価格で流通することを願い、グリーンコンシューマー活動を実践している。