2012年夏 関西の電力需給どうだった | 認定NPO法人 環境市民

2012年夏 関西の電力需給どうだった

このコーナーは,2002年から2013年まで環境市民の事務局長を務めた堀孝弘が,在職時に書いたブログを掲載しています。

2012年夏 関西の電力需給どうだった

2012年の夏、関西の電気は足りました。停電の必要もなく過ごせましたが、少しその中味を見てみましょう。

上のグラフを見てください。赤い線はそれぞれの日のピーク時供給能力、青い線は各日の最大消費電力をあらわしています。黒い線は、赤−青、つまりその日、余った電気。
注目してもらいたいのは、グレーの破線。7月9日から大飯原発3号機(出力118万Kw)がフル稼働し、7月25日からは4号機(出力118万Kw)がフル稼働しています。原発が発電したであろう電力量を差し引いたのが、グレーの破線です。つまり大飯原発が動かなくても、破線分の電力は余ったわけです。
例外的に8月17日だけ、破線が落ち込んでいます。原発発電分を除くと余剰電力がなくなったわけですが(−13万kw)、この日は関西電力の予想最大電力(2410万Kw)よりも、実際の消費電力が100万kWも多く(2518万Kw)、予想が大きくはずれたため、このようなことがありました。しかし、原発以外の発電所がフル稼働だったかというと、300万Kw分の余裕がありました。

つまり、原発がないとどうしようもなかった、という日は、今年の夏、一度もなかったということです。

もうひとつ、グラフを見てください。5月19日に関西電力が今夏の電力予想を公表していました。今夏の最大消費電力を2987万Kwと予想していましたが、実際には2680万Kw。300万Kwも少なく、一方供給能力は、500万Kwも上積みが可能でした。このうち原発による上積みは236万Kw。

一般家庭(従量電灯A)は60アンペアでないと契約できないなど、関西にはまだまだ節電ポテンシャルがあります。原発が止まると、電気が足りなくなるわけではありません。