4 グリーンコンシューマー活動の特徴 | 認定NPO法人 環境市民

4 グリーンコンシューマー活動の特徴

文:杦本 育生

グリーンコンシューマー活動そのものがもつ特徴をここで整理しておく。

(1) 誰でも日常的に行なえる活動であること
現在の生活は、物を購入することで成り立っていることからこれは当然のことである。買う品物や店舗を選ぶのは適切な情報があれば、誰でもできることである。環境問題は全ての人が取り組む必要のある課題であることを考えると、特別な能力や専門的知識がなくても誰にでも日常的にできるということは大きな意味がある。また、使い捨て型の製品や過剰包装のものは、一般的に価格が高く、家計的にもマイナスであることを消費者が認識すれば、そのインセンティブも働き、多くの消費者にとって取組みやすいものになる。

(2) ライフスタイル変革への具体的な提案である
持続可能な社会にしていくためには、ライフスタイルと社会経済システムを変革する必要があるということは、すでに多く人が認めるところになっている。が、問題はどのようにすればライフスタイルを変えることができるのか、特に我慢や無理をあまり伴わなくできるのか、その方法が具体的にはあまり提案されていないことである。グリーンコンシューマー活動は、環境を大切にした商品を選ぶというだけでなく、それとともに、個々人の価値に合わせたほんもの、いいものを、選び大切に使うという姿勢が基礎にある。そのためグリーンコンシューマーは我慢ではない、より豊かでかつエコロジーな生活の提案として人々に受入れられていく可能性がある。

(3) 企業の環境への取組を促進する。
商品選択の基準として環境を重要視するという消費者が増えれば、当然、流通小売業も経営上からもそれに対応した品揃えや、包装、販売方法を選択するようになる。
流通小売業への影響は、製造業にも直に及ぶ。従来、日本においては製造業から消費者ニーズが作られてきた傾向が強いが、グリーンコンシューマーは消費者側から、環境重視のニーズを作りだしていくものである。これは例えば、単なるリサイクル活動では決して起こることのないものである

また、さらにこのようなグリーンコンシューマー活動に取り組む人々やその活動には次のような特徴があげられる。

(1) 若い人の参加
日本の消費者運動は、その担い手が高年齢化しているという実態がある。また環境運動も学生や青年を中心にしたグループがあるものの、多くの団体は中高年が中心である。しかしグリーンコンシューマー活動には、20歳代の参加も多く見られ、中には大学生のみによって作られた地域版ガイドもいくつかある。その要因としては調査研究型の活動であること、新たな豊かさの価値観を提案することに結びついていることなどが考えられる。

(2) 調査研究、提案、実行型の運動
日本の環境活動の中心になっていたのは、反対運動である。企業活動や公共事業に伴う環境破壊に対する反対運動は、民主主義社会として必要なことであり重要なことでもある。ただ、環境問題が地球規模に広がり、かつ多様化し、深刻な事態が予測され、また市民の日常生活の中にも、その原因となる行動が存在するようになった、現在においては、反対運動だけでなく、提案実行型の運動も重要になっている。また提案実行のためにはその基礎となる調査研究活動も必要である。グリーンコンシューマー活動は、その一つの具体的な先進事例でもある。

(3) 多様な環境問題への対応
環境問題は個々の課題ごとに分類はされているが、実際には多くの課題やその原因は相互に結び付いている。しかし環境運動も従来は、各々「ごみ問題」「地球温暖化」「熱帯林破壊」など課題ごとに組み立てられていることが多かった。グリーンコンシューマー活動は、様々な環境への課題に対して総合的に取り組んでいくことが、日々の消費行動を変えることで可能になるという、提案である。

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