7 情報化社会とグリーンコンシューマー | 認定NPO法人 環境市民

7 情報化社会とグリーンコンシューマー

文:杦本 育生

21世紀は環境の世紀とも情報の世紀とも言われている。小論のまとめにはいる前に情報化社会とグリーンコンシューマーについてふれておきたい。グリーンコンシューマー意識調査98(株式会社電通1998.12)によると消費者は企業からの環境情報の発信はあまりないと感じている者が8割以上である。また環境情報もどれが正しいのかよくわからないとしているものが約6割である。ここからも考察できるように、買い物に際して例え環境を大切な基準として商品の選択を姿態という意識があったとしても、情報の少なさと信頼性のなさから、実際の買い物の祭にグリーンコンシューマーとして行動できる人は多くない。同調査によると、ある程度行動が顕在化している人及び潜在的なグリーンコンシューマーはすでに46%に達しているが、実際にはグリーンコンシューマーとしての力が社会的なものになりえていないのはこの情報の問題によるところが多いと考えられる。
それでは企業からの環境情報がもっと出せばいいのかというと単純にそうはいえない。実際には多くの消費者が感じているよりは、企業からの環境情報は発信されていると筆者は考える。しかし多くの消費者にとって身近に感じる情報としてはあまり届いていないし、届いていても信頼感に欠けていると判断されることも多いというのが実態ではなかろうか。その信頼感がある情報の出し手としては、個々の企業では難しい。どうしても利益追及のため売らんがための情報ではないかと消費者は思いがちである。また同様に事業者団体でも難しい。それでは公的な機関ではどうかというと、これも大きな信頼は得られていない。日本のエコマークだけではなく、日本では評価の高いドイツのブルーエンゼルでさえドイツの消費者にはあまり信頼されていない。そのドイツで高い信頼を得ているのがドイツ消費者協会が発行している『テスト』誌の商品情報である。ここから見えてくるのは、グリーンコンシューマーの商品情報の担い手としては、消費者、市民自らが、実際には環境団体や消費者団体がもっとも信頼されるということである。買い物ガイドもそのひとつの情報媒体であり、今後もグリーンコンシューマー活動において重要な位置にあると考えられる。
情報社会の本質を考えると情報の発信力のないものは、社会的な力が弱いということも言えよう。従来、消費者は情報の受手としてしか存在していなかった。それゆえ悪質な情報や販売手法から守るために消費者保護行政がなされてきたと言える。今日の消費者行政は消費者に自立を求めるものになってきているが、そのためには消費者が社会的な力をつけなければならない。その社会的な力としてもっとも注目すべきものは情報の担い手となることである。グリーンコンシューマー活動は地域版ガイド、全国版ガイドの創ると言う活動を通して、この情報の担い手としての力をつける活動でもあった。

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