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第3回 ふすまの補修と張り替え ~ふすま紙張り~
築年数の古い日本家屋を大切に使い続けるために、破損部分の補修方法の紹介と、現代のライフスタイルに合わせて和室をエコリフォームする一例をご提案していきます。(2009年11月号ニュースレター掲載)
いよいよ、ふすま紙の張り替えです。今回使用するのは越前(福井)の「鳥の子紙」。粒のある方が表です。ふすまに合わせて周囲を1cmほど大きく切ります。ふすまの形が歪んでいる場合に合わせて、紙の上下は決めておきましょう。
「うけ紙」には「茶浮(ちゃう)け紙」を使います。わら半紙や新聞紙でも代用できます。ふすま紙の幅より1cmほど小さめに切りましょう。
糊を濃度別に2種類用意しましょう。「姫糊」系の米で作られたのり(「じん糊」ともいう)を使います。濃い方は袋からそのまま出して、薄い方(「水糊」といいます)は糊1:水1の割合で用います。
ふすま紙を裏返し、コシのある刷毛で周囲に濃い糊を塗ります。そのあと水糊を全体に塗り、糊をならしましょう。水分をたっぷり含んだ状態で張ると、湿気の多い日もシワやたるみが出にくい効果があります。
ふすま紙の周囲を1cmほど残して、先程の「うけ紙」を貼ります。さらに裏返して、ふすまに貼り付けていきましょう。二人で持ちながら位置を合わせていくと作業しやすいでしょう。紙の上下両端からなでつけ、最後に真ん中を張ります。乾いた刷毛で真ん中から空気を出すように撫で、美しく仕上げましょう。
(文/ニュースレター編集部 千葉有紀子)
作業プロセス写真館
ふすまの修繕のプロセスを多くの写真で分かりやすく紹介しています。
http://www.zorg.com/pub/albuml?al=32934&c=iilrlkqntn
1.濃い糊と薄い糊(水糊)を用意
ふすま紙を張る糊は、姫糊(米から作られた糊)を使用。2つの容器に分け、袋から出したままの糊と、水に溶いた薄い糊(水糊)の2種類を用意する。
2.ふすま紙のフチに濃い糊を塗る
ふすま紙を、ふすまの大きさより上下左右1cmほど大きめにに切り、端から約5cm幅で濃い糊を塗る。
3.ふすま紙の全面に薄い糊を塗る
全面に薄い糊を2~3回重ね塗りする。糊跡を消すように刷毛を動かす。塗り終わって数分おくと紙がなじんでしんなりする。
4.ふすま紙の上にうけ紙を貼る
うけ紙(新聞紙で可)をふすま紙の周囲から約1cm小さく切る。縦に3枚程5~6cmずつ上から順に重ねる。端に1cmほど濃い糊をつけるのがポイント。
5.ふすま紙をふすまに張る
茶浮けを貼ったふすま紙を裏返し、ふすまに張る。下側から紙を降ろし、周囲1cmほど均等にはみ出すように置く。乾いた刷毛で上から撫でて空気を逃がす。
6.出た釘を戻しておく
ふすま紙のはみ出した部分を折り曲げて、下地のヘリに貼り付けていく。角は皺が出来やすいので、引っ張りすぎないように気をつける。
協力: 表具師 古澤 利弘
材料取扱店:姫糊…中村糊店(富小路五条下ル)、ふすま紙と茶浮け…山崎商店(室町今出川上ル)
次回は「引き手と枠の取り付け」です。