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レントゲンと原発放射線は違います
カテゴリ: 福島原発事故を理解するために押さえたいポイント | 更新日:
2011年3月19日
NPO法人環境市民
テレビ等で専門家や解説者と言われる人が、福島原発による放射能の影響について、CTスキャンより弱いとか、レントゲンとおなじぐらい、レントゲンの○回分、といった表現をしているメディアがいますがこれは大きな間違い。またこのような解説で、「直ちに人体に影響が出るレベルではない」と平気でテレビで解説者達が言っていますが、これも間違いです。短時間に出る人体への被害とは別に、甲状腺がんなど長期的な悪影響があります。
正確な知識が必要です。
レントゲン、CTはあくまで、医療のために、ごく一時的に放射能を浴びることであって、体内にずうっととどまるものではありません。レントゲン、CTも被曝のリスクはありますが、病気をみつけるために、あえて行っています。必要もなくレントゲンを続けて浴びる人はいないでしょう。原発事故によって拡散した放射線は、浴びる時間もレントゲン、CTのように一瞬ではありません。放射線を受けた量は、放射線の強さ(いた場所の1時間あたりの放射線レベル)×滞在時間ですから、滞在時間が長ければそれだけ多くなります。(正確な被曝量の測定はかならず専門家に調べてもらってください)※1
浮遊し、体内に吸収してしまう放射性物質による内部被曝
レントゲン、CTは、機器の整った室内で行われるのに対し、今回の事故で放出された放射性物質は空気中をまっているわけですから、服や肌に付着する外部被曝(表面汚染)と口、鼻、傷口から吸収する内部被曝がおきます。
外部被曝(表面汚染)は、服を着替え、髪や身体を洗って影響を軽減することもできますが、内部被曝は放射性物質が体内に入り、その後も体内から放射線を出し続けることになります。その結果、細胞の遺伝子が傷つく原因と、長期にわたってがんのリスクが高まる可能性が指摘されています。※2
放射能の種類
もう一つ考えなければいけないのは放射能の種類です。放射能は、アルファ線(α線)、ベータ線(β線)、ガンマ線(γ線)、エックス線(X線)、中性子線などの総称です。種類によって、物質を通りぬける力(透過力)が違います。
例えば、アルファ線は紙でも止められますが、ガンマ線は鉛や鉄などの分厚い防御が必要になります。その他、種類によって、人体に与える影響は部所も時間的な長さも内容も様々です。(右図)
右図出典:「原発事故の防災対策」槌田 敦 著 たんぽぽ舎 1999年 PDF こちら
被曝量の測定を実施しているところ
・広島大学緊急被ばく医療推進センター こちら
・東日本ブロック被ばく医療機関(初期および二次) こちら
・西日本ブロック被ばく医療機関(初期および二次) こちら
参考
※1(財)放射線影響研究所 福島第一原子力発電所事故について よくある質問 Q&A
※ 2世界保険機関(WHO) 日本原子力事案 FAQ(2011年3月14日)