放し飼い卵表示で罰金約2,800万円 | 認定NPO法人 環境市民

放し飼い卵表示で罰金約2,800万円

コーディネーターの有川真理子です。12月からシドニーで、NGOのアドボカシーや持続可能な消費などをテーマに調査をしたり実際にいろんな経験をしたりしています。現地での暮らしや仕事を通して感じたこと思ったことを紹介していきます。お楽しみに!
(本事業は外務省主催 2014年度(第8回)NGO海外スタディ・プログラムを活用しています)

今日はChoiceというオーストラリアの消費者団体を紹介します。世界に数ある消費者団体の中でも私が(勝手に)好きなと消費者団体の一つです。特に、質の高いアドボカシー力とメディアの使いこなし方が魅力的です。

設立は1960年。現在スタッフは約100人。収入の98%は雑誌「Choice」の購読料(写真下:アパートの近くのカフェに置いてありました!)。メディア部門、キャンペーン部門、マーケティング部門、デザイン部門、商品テスト部門があり、互いに連携をとりつつ、専門性を活かした役割分担で戦略的なアドボカシー活動を展開しています。

企画から宣伝、会員募集からボランティアコーディネート、時にはおやつの買い出しまであれもこれも担っているNGOからすればうらやましい限り。「I envy you(うらやましい)!」というと「Yeeeees!(フフフ)」と担当者。

今回インタビューに対応してくださった方も前職は規模の小さなNGOだったので今の状況は夢のようだ、と語っていました。

さてChoiceが行なっているアドボカシー活動の中でも今回特に私が注目したのが「Free range(放し飼い)」卵の表示の問題です。日本のスーパーでも見かけることはありますが、欧米では動物福祉の観点から放し飼い卵を求める消費者はとても多く、卵売り場に行くとずらーっと“Free range”と書かれた卵が並んでいます。Choiceの調査(900人を対象)によると約60%の人が卵を選ぶ際、「放し飼い卵」であるかどうかは「必須」と回答しています。

ところで、みなさんは「放し飼い」と聞いたとき、どんなイメージが頭に浮かびますか? 私はニワトリさんが朗らかにお散歩しているイメージが浮かびます。では「1ヘクタールあたり何羽ぐらいのニワトリがいるイメージですか?」10羽? 50羽? 300羽? 1000羽? それ以上? だんだんよく分からなくなってきますね。

放し飼い卵は通常の卵よりも値段が高く、消費者も多少多くお金を出してでも買う傾向があります。しかし、実はオーストラリアには「Free range(放し飼い)」という用語について自主的な基準や認定制度しかなく国として統一した基準はありません。特に認定も得ず、「Free range(放し飼い)」という言葉しか書いていないものもあります。

もし実際状況と消費者のイメージが違っていた場合はどうなるでしょうか。優良誤認(消費者をだます表示)になります。

2014年、オーストラリアの連邦裁判所は特に状況がひどかったPirovicという会社に対し約2800万(300,000AUSドル)の支払いを命じました。

この判決、この金額、みなさんはどんな風に感じるでしょうか。

Choiceの活動としてみると、今回の判決は数年にわたる取り組みの一つの大きな成果と言えますがこれで終わりではありません。次の目標、目標達成に向けた戦略についてはまた別途紹介したいと思います。

Others

2.GOOD ON YOU 〜エシカルなお買い物を簡単に〜
「エシカルコンシューマー」という言葉が日本でも聞かれるようになってきました。「エシカル」には「倫理的な」「道徳上の」といった意味があります。市民が環境や人権、労働、動物の福祉、社会貢献などに配慮した製品やサービスを選択することによって、社会を変えていくことを目的として80年代に英国ではじまりました。

3.食べることがもっと楽しくなる量り売り
「量り売り」は容器包装ごみを減らすこともできるし、必要な分だけを購入できるので食べきれずにごみになってしまうという事態も避けられる……と環境市民でいつも伝えていますが、日本には「量り売り」があまりないのでこれを実感するのはなかなか難しいもの。今回は日々のご飯をつくるときに「量り売り」の便利さ、楽しさを実感しました。

4.水道水で行こう!
今日の最高気温は29℃。湿気がひどくないので日本の夏よりもすごしやすいですがそれでも日中は暑くて水が欠かせません。オーストラリアの場所にもよりますがシドニーは日本と同じぐらいの硬度なので水道水を飲むことができます。おかげでお財布が助かりました。

5.きれいな海、生き物のために デポジット制度導入を決定

「ニューサウスウェールズ州は2017年7月に、飲料容器に対しデポジット制度を導入する」うれしいニュースが飛び込んできたのは2月21日のこと。 今回の導入を10年以上にわたってリードしてきたネットワークNGO"Boomerang aliance"にインタビューしました。

6.ファッションで難民、移民の方をサポート
難民や移民としてオーストラリアに来た若者を対象に、洋裁や販売の教育、研修、雇用機会を提供し、難民の人たちの豊かな創造性を広げることを目的として2014年にオープンしたファッションストア"The Social Outfit"を取材しました。