関西には、まだまだ節電ポテンシャルがある | 認定NPO法人 環境市民

関西には、まだまだ節電ポテンシャルがある

このコーナーは,2002年から2013年まで環境市民の事務局長を務めた堀孝弘が,在職時に書いたブログを掲載しています。

関西には、まだまだ節電ポテンシャルがある

前回のブログ「2012年夏 関西の電力需給どうだった」で、今夏の関西の電力需給について、「原発の再稼働なしでも乗りきれた」ことを、グラフとその解説で明らかにしました(こちらもぜひ見て下さい)。
 

ですが、なかには「今年の夏は、火力発電所の大規模な事故などがなく、たまたま乗りきれた。」と言う人もあることと思います。また、「今年は乗りきれたけれど、がまん・しんぼうの節電を求められるのもしんどい」と言う人もいることでしょう。
いえいえ、関西には、まだまだ節電ポテンシャルがあるんです。このことを知ってもらうと、「原発なしでも、不自由なく生活できる」ことを感じてもらえると思います。

以下はおもな内容

・ダウンアンペアが実現すれば
・高効率機器の買い替え(グリーン購入の効果)
・まちの節電 まだまだできる
・再生可能エネルギーの普及

ダウンアンペアが実現すれば

【契約電流を選択できると、消費者にとってもお得】
今のところ、関西電力では、一般家庭(従量電灯A)の契約電流(アンペア)は、60Aでしか契約できません。東京電力や中部電力は、契約電流(アンペア)を選択することができます。
たとえば、東京電力の場合、10A、15A、20A、30A、40A、50A、60Aの選択ができ、基本料金が違います。契約電流を選択できると、消費者にとってもお得なのです。
60Aの場合、1,680円/月
40Aは、1,092円/月
20Aは、546円/月
10Aは、273円/月

【ダウンアンペアの効果】
もし関電との契約でもダウンアンペアができて、現在の60Aを40Aに下げる世帯が、関電管内の一般世帯の10分の1(約100万世帯)あったなら、どうなるでしょう。
20アンペア × 100ボルト = 2,000ワット(2kW)
つまり、1世帯あたり2kW分、関西電力の供給責任が少なくなります。
100万世帯なら、200万kW相当になります。
大飯原発2基の発電容量が236万kWですので、この数字れはたいしたものです。

【来夏に向けて、ダウンアンペアの実現を】
もちろん、供給責任=消費電力ではないので、この数字がひとり歩きしてはいけませんが、こまめな節電を呼びかけるより、はるかに大きな「節電促進効果」があることでしょう。
現在、北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、九州電力で契約電流の選択ができます。関西電力も、来夏に向けて、原発の稼働よりもダウンアンペアの実現を!

【ダウンアンペアしたら不便なの?】
では、契約電流を下げたなら(ダウンアンペアしたら)、生活は不便になるでしょうか。主要家電製品のアンペアをみていきましょう。夕方、食事の用意をしている時の光景を思い浮かべてみましょう。別の部屋でテレビを見ている人もいるという想定です。
エアコン(8〜12畳用・冷房時)   4.7A
テレビ (液晶32V型) 0.5A
冷蔵庫 (450Lクラス) 2.5A
電子レンジ(1000Wタイプ) 10.0A
IHジャー炊飯器(3〜5.5合 炊飯時) 10.0A
照明 電球型蛍光灯100W相当 0.2A
環形蛍光灯(6畳タイプ)×2 1.0A
合計 28.9A

【40Aでも不自由はない】
上記のように、炊事をして、別の部屋でテレビを見ていても、30A以内でおさまります。
さらにもうひとつ別の部屋で、エアコンとテレビをつけていても、40A以内でおさまります。40Aを超えるとしたら、調理・炊事をしながらアイロンをかける、ヘアードライヤーを使う、洗濯乾燥機の乾燥機能を使う(洗濯時の消費電力は高くない)などの場合です。アイロンやヘアードライヤー、乾燥機を使う時間を少しずらしたら良いだけのことです。
東京電力管内など、他のエリアには30Aや40Aで、普通に生活している人が多くいますので、40Aでも不便はありません。


高効率機器への買い替え(グリーン購入の効果)

【堀家の事例から】
省エネ性能の高い電気製品の買い替えは、大きな節電効果があります。写真は筆者・堀宅の7月の「電力消費量のお知らせ」です。字が小さくてわかりにくいかもしれませんが、前年同月比-24.8% 「これだけの節電効果をあげるには、かなり我慢や辛抱をしたのでは…」と思う人もあるかもしれませんが、特別なことはしていません。むしろ今年5月から、独り暮らしをしていた義母と同居をはじめ、家族が4人から5人に増えたので、消費電力が増えていてもおかしくないと思っていました。
要因は、同居を前に20年近く使った古いエアコン1台を買い替えたこと、さらに、地デジ対応でテレビを2台買い換えたことがあげられます(昨年の7月、地デジ化直前までブラウン管テレビを使っていた)。その際いずれも、その時販売されていた製品のなかで、最も省エネ性能が高い製品を選びました。
モノ選びの際、環境にも配慮することをグリーン購入といいます。もちろん、まだ使える製品を無理に買い換える必要はありませんが、買い替えの際、グリーン購入をすると、大きな節電につながることを示すことができたかと思います。
先に例示したダウンアンペアにしても、グリーン購入とあわせ技で、買い替え時に省エネ性能の高い製品を選ぶことで、無理なくすすめることができます。