最近の震災関係テレビ番組から思うこと2 東京ディズニーランドの危機管理 | 認定NPO法人 環境市民

最近の震災関係テレビ番組から思うこと2 東京ディズニーランドの危機管理

このコーナーは,2002年から2013年まで環境市民の事務局長を務めた堀孝弘が,在職時に書いたブログを掲載しています。

5月8日、フジテレビ系列で日曜日夜放送されている「ミスターサンデー」で、震災当日の東京ディズニーランドの危機対応について紹介されていました。「すべてはゲストの安全と安心のために」を理念に、自前の消防車と消防隊を持つだけでなく、年間180回も避難訓練を繰り返しているとのことです。スタッフの9割がアルバイトですが、彼らが自分の判断でゲストの安全・安心のため、マニュアル以上の対応をしたことが番組で紹介されていました。

どのような対応をしたかですが、まずは地震発生時、スタッフ自身がパニックにならず、以下の対応をしたそうです。建物のなかにいるゲスト(客)を建物外に誘導して、手で頭を守って低い姿勢をとるように促しましたが、それだけでなく、店舗スタッフが売り物のぬいぐるみを屋外に避難するゲストに配り「これで頭を守ってください」と呼びかけました。さらに当日は2月並みの寒さ。しかも小雨も降ってきました。普段は絶対にゲストに見せない段ボールやレジで商品を入れる袋や、ごみ袋(もちろん未使用)を配って、床に敷いたり、防寒具や雨合羽のかわりにしてもらっていました。映像では整然と段ボールが敷かれ、ビニールを身体に巻いて寒さをしのいでいるゲストたちの姿が映し出されていました。

建物のなかにはシャンデリアなど、落下すると危険なものがあります。ゲストが外に避難するまでの間、下にスタッフが立ち(そのこと自体は危険ですが)、建物内の危険箇所にゲストが近づかないようにするスタッフや、レジ袋の絵の仕込まれた「隠れミッキー」をさがす簡単なゲームを示して、外に避難した子どもたちが退屈しないよう気を配るスタッフがいたことなども紹介されていました。みやげもの売り場のお菓子は、寒さと心細さの募るゲストたちにスタッフらが惜しげもなく配り、お店の棚は空になったとか。
日が暮れ、家に帰れなくなったゲストたちのためら非常食が出されましたが、これも日頃から用意されていたもので数万食分あったとか。シアターなども仮の宿泊所としてゲストに解放していました。また、それまでゲストだけでなく、マスコミにも絶対に見せない方針を貫いてきたバックヤードも、そこが安全な避難経路であるならば、ゲストの安全を優先して解放しました。
こういった対応に感激したゲストらが、震災後テレビ局に伝えるなどして、今回の放映のための取材につながったとのことでした。

もともと東京ディズニーランドは、想定震度を6強(実際は5強)、想定来園者数は10万人(当日7万人)と設定していて、あの大震災も「想定内」だったとのことです。最悪を想定して対処法を考え、それができるよう日頃から訓練し、実際にはそれ以上の動きをした…。「想定外」の言葉で責任逃れをしてはいけません。どこかの電力会社と大きな違いです。

写真は本文と関係ありません。装身具というものを身につけない筆者が最近付けているリストバンドです。