最近の震災関係テレビ番組から思うこと 1 | 認定NPO法人 環境市民

最近の震災関係テレビ番組から思うこと 1

このコーナーは,2002年から2013年まで環境市民の事務局長を務めた堀孝弘が,在職時に書いたブログを掲載しています。

  4月29日朝、テレビ朝日系列で放映された「モーニングバード」という番組で、被災地で大量に発生している災害ごみのうち、プラスチックごみのリサイクル事例が紹介されていました。正確な表現は記憶していませんが、レポーター、司会者、コメンテーターなど、番組全体「環境にやさしい」という雰囲気で紹介をしていました。
上記番組で紹介されていた宮城県内のある工場は、津波被害に遭った工場ではなく、地震の揺れにより、商品や機材等が損傷を受けていました。そのなかで紹介された「プラスチックごみ」は、輸送用パレットや清酒などを入れるプラスチック箱(いわゆるP箱)などです。整然とトラックに積み込まれ、見た目、変形はないものと思われましたし、そもそもこれらは、少々汚れなどがあっても使用可能と思われます。アップで紹介されていた折りたたみ式コンテナ(折りコン)も、見た目、破損しているようには見えませんでした。これらの道具は、何度も繰り返し使用され、地域経済を支えてきたものと思われます。
これらが秋田県内のリサイクル工場まで運ばれ、細かく破砕され、何にリサイクルされたかと言うとプランターです。被災した学校等に贈られて、花を植えて子どもたちの心をいやす、ということで「とてもいいこと」として締めくくられていました。

これを強いて人間に例えると、現役世代バリバリの人材を無理やり隠居させてしまったようなもどかしさを感じました。「プランターに花を植え、子どもたちの心をいやす」ことと、資源の利用効率は別のこととして考えるべきではないでしょうか。

何度も繰り返し利用する「リユース」と、つぶし溶かして、道具としては終着点ともいえるようなモノをつくり出す「リサイクル」、この両者の違いを司会者やコメンテーターは理解されていないようでしたし、本当に使えない状態にまで破損した道具なのか、その検証からはじめるべきだったと思います。何かに作り替えたことで「環境にやさしい」と言っている番組構成に違和感を抱きました。

 

《ここからはちょっと難しい話です》
何度も繰り返し使用されるリユースは、溶かしてつぶすリサイクル(カスケード的な資源利用)より優先されるべきことで、そのことは2000年6月に施行された「循環型社会形成推進基本」にも、下記のように規定されています※。

※ 循環型社会形成推進基本 第七条「循環資源の循環的な利用及び処分の基本原則」には、下記がこの原則の最初に記載されている。「循環資源の全部又は一部のうち、再使用をすることができるものについては、再使用がされなければならない。」