米国脱退でどうなる気候変動対策 | 認定NPO法人 環境市民

米国脱退でどうなる気候変動対策

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

このたびアメリカがまとめて脱退を表明した国際的な枠組みの中には気候変動枠組条約が含まれていました。
気候変動対策の国際的な合意であるパリ協定からの離脱はトランプ大統領が第2期就任直後の2025年1月から表明していましたが、今回はその大元である条約からの脱退となります。
米国が気候変動対策の国際的枠組みから一抜けするのは、2001年のブッシュ大統領による京都議定書の離脱、第1期トランプ政権での2017年のパリ協定離脱と3度目であり、もはやお家芸と言ってもいいかもしれません。

一方で、州政府や企業・大学などが立ち上げた連合America Is All Inや、
環境意識の高い州知事らが中心となって結成した州政府の連合組織、
U.S. Climate Alliance(米国気候同盟)は、連邦政府の方針に反対声明を出し、
温室効果ガス削減を続ける意思を表明しています。
民間企業も脱炭素のトレンドがビジネス上の競争力に直結することを理解しているため、
排出削減の歩みを止めることはなさそうです。
ただし、トランプ政権は州独自の環境規制を封じ込めようと、
法廷闘争に持ち込んでおり、激しい攻防が続く見込みです。

さて、わが日本はどうでしょうか。
2025年11月にブラジル・ベレンで開催された
気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)では、
例によって日本は交渉に後ろ向きな国に贈られる不名誉な化石賞を受賞しました。
昨年2月に策定された第7次エネルギー基本計画でも
2040年の発電電力量のうち3,4割は未だ化石燃料によると定めています。
国も産業界も動きが鈍いと言わざるを得ないのですが、
その流れが変わる兆しが少し見えてきました。
2027年3月よりサステナビリティ情報の開示義務化が順次進む中で、
これまでの事業者が直接的・間接的に排出する温室効果ガスだけでなく、
その事業に関連する他の主体(いわゆるサプライチェーン)の排出量も
当該事業者の排出量とみなすスコープ3*が求められることになります。
開示義務のある大企業が、取引先の中小零細企業の排出する分も含めて
開示が必要になってくるため、必然的にすべての事業者が
自らの事業遂行に関係する全温室効果ガス排出量を減らすことを意識せざるを得なくなります。
遅いけれどもやっとここまで来ました。
悪いニュースばかり続く昨今ですが、これで産業界の意識と行動が大きく変わり、
日本が国際社会の中で排出削減を牽引できる
名誉ある立場になっていくことを期待したいと思います。          (げの字)

<参考>
*スコープ3 日経ESG(外部サイト)

米国離脱でも止まらない気候変動対策(電子かわら版コラム2017年6月)

<今週のコラムニスト>
ペンネーム:げの字
環境市民の設立3年目からの会員で、かつて事務局スタッフとして広報や環境教育を担当。
気候変動問題には1997年のCOP3の頃から取り組む。