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冬の滋味
カテゴリ: 電子かわら版コラム | 更新日:
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粕汁は京都の厳しい寒さの頃には欠かせない一品。
冬の根菜がたっぷり入っていて体の芯から温めてくれます。
わが家では大根、金時人参、牛蒡のほかに、お揚げさん(油揚げ)、こんにゃく、ちくわ、そして豚肉を少しだけ加えてつくります。
よその地域では鮭などが入った粕汁もよくいただきますが、京都では豚肉を使うことが多いように思います。
これは冬場にビタミンB群を摂るための京都の工夫ではないかと私は想像しています。
かつおと昆布の旨みとミネラルたっぷりの出汁で根菜に火を通し、
その他の具材も入れた後、酒粕を投入します。
栄養価は実に理に適ったものです。
この酒粕は伏見の蔵元のもので、
そのシーズンに搾った酒粕を使います。
絞ったばかりの酒粕にはお酒がまだたっぷり残っていてジューシー、
炊いているとお酒の香りが台所いっぱいに広がります。
もちろん、お気に入りの蔵元・銘柄の酒粕を使うのですが、
そこは京都、必ずどこかから酒粕をいただくので、
味くらべをしたり自分なりにブレンドしたりすることもあります。
また、京都の粕汁は白味噌を入れる家が多いようですが、
酒粕を溶かした白い色が茶色くならず、
甘みを残してトロッとした濃い粕汁になるので、
体が温まるのを助けてくれます。
でも、これも薄口醤油が好みとか、白味噌と麹味噌をまぜるとか、
聞けば聞くほど家ごとにこだわりがあるようです。
酒粕は、京都の家庭ではいろいろなものに使われます。
甘酒をつくったり、
そのまま焼いて上に砂糖を乗せておやつのように食べたり、
酒粕漬けの漬物や和え物にも使います。
冬場の健康や免疫力を維持するための発酵食品として、
重要な役割を美味しく温かく担っているといえますね。
最近は蔵元の減少などもあり、
以前よりは酒粕が出回らなくなっていると聞きます。
いつまでも冬の京都の食の楽しみ、
粕汁がつくれるようにと願っています。
みなさんのお住まいの地域では、
どんな冬の伝統的な健康レシピがあるのでしょうか。
「身土不二」の発想で、この寒さを乗り切っていきましょう。
(イバラノカンザシ)
<今週のコラムニスト>
ペンネーム:イバラノカンザシ
ドリトル先生に憧れ、海の中の生きものといつか話ができることを夢見て世界の海に潜り続けています。
最近、海の中にいると一瞬エラ呼吸できそうな気分になります。