高校生の断熱ワークショップ | 認定NPO法人 環境市民

高校生の断熱ワークショップ

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

「学校の校舎は夏は暑くて冬は寒い」は、一昔前までは当たり前だったかもしれません。
少々のことなら我慢して忍耐力や集中力をつけるとか、日本の四季を肌で感じるのも学校生活での学びといった感覚があったのかもしれません。
しかし、今や気候への適応、断熱ができていない学校の校舎や体育館、講堂は大きな問題を抱えています。
学習に集中できないだけでなく、
熱中症に代表されるような健康にも関わる問題です。
そのため、夏は冷房、冬は暖房と
電気やガスなど多くのエネルギーを使っていますが、
教室の生徒に満遍なく同じ快適性を提供できるわけではありません。

また、ひとたび災害が起きれば避難場所となる学校には、
着の身着のまま、命からがら避難してきた人たちが集まります。
その人たちが、より過酷な暑さや寒さに耐えなければいけない状況も、
近年の気象災害の増加で多く知られるようになりました。

こうした学校をはじめとする公共施設には断熱改修が必要ですが、
学校の校舎の改築はなかなか進んでいないのが現状です。
そこで、高校生たちに気候変動やエネルギーについて学習してもらった上で、
教室を高校生自らで断熱しようというワークショップが
少しずつ全国に広がっています。

私がワークショップを見学したのは
滋賀県長浜市の伊香(いか)高校でした。
生徒たちは2日間にわたって地元の工務店のみなさんの指導のもと、
廊下側の窓に断熱パネルを貼ったり、
教室の壁に木材で枠組みを作り断熱材をはめ込んでいくなどの大工仕事をします。
作業の途中にも、アルミサッシと内窓に使った木製サッシとを触って、
その熱の伝わり方がどれほど違うのか、
また、断熱材が入っている壁と入っていない壁の違いを体感したりしました。
完成した時には、最初の教室とは明らかに室温が違うことが感じられ、
何より生徒たちのやり終えた後の満足げなコメントが
ワークショップの成功を物語っていました。

今回の伊香高校の断熱ワークショップは、
各地で高校断熱ワークショップを手掛けてきた
株式会社エネルギーまちづくり社の協力を得て、
地元の事業者さんや工務店・大工さん、同窓会、
つなぎ役を務められたエネシフ湖北など、
地元の方たちの力が結集して実現したものです。
未来を担う高校生たちへの愛と地元を大切に思う
気持ちのこもったワークショップは、
教室の体感温度だけでなく心も温まる見学となりました。

詳しい経緯やリポートはエネシフ湖北の下記のリンク先で見ることができます。
伊香高校断熱ワークショップ 企画趣旨編
伊香高校断熱ワークショップ 事前学習編
(イバラノカンザシ)

<今週のコラムニスト>
ペンネーム:イバラノカンザシ

ドリトル先生に憧れ、海の中の生きものといつか話ができることを夢見て世界の海に潜り続けています。
最近、海の中にいると一瞬エラ呼吸できそうな気分になります。