交通まちづくりを市民の手で | 認定NPO法人 環境市民

交通まちづくりを市民の手で

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

9月22日は世界共通カーフリーデー、交通のあり方を市民が考える機会とする日。
今年は翌23日に開催された「カーフリーデーふくい2023」を滋賀の6人の仲間で視察してきました。
福井市内で行われるカーフリーデーは今年で17回目とのこと。
市民、交通事業者、行政、様々な主体が展開する、
二つの駅前とまち全体を使った多彩な企画を楽しみながら体験しました。

主催は実行委員会と、NPO法人ふくい路面電車とまちづくりの会(ROBA)。
ROBAは2001年に任意団体として発足しています。
今ではかっこいいLRTが走るまちとして注目をされている福井市ですが、そこに至るまでは路面電車の存廃議論が長年積み重ねられてきました。
その中で、市民意識を盛り上げて鉄道を活かすまちづくりを牽引した一つがROBAだということで、今回はそのお話を聞かせていただくのが、
視察の最大の目的でした。

鉄道の存続に向けた議論が福井では盛り上がって
滋賀では一向に盛り上がってこないのはなぜか、
どうすれば盛り上げられるのか、根掘り葉掘り質問して、
市民団体が機運づくりに貢献してきた様子がおぼろげながら見えてきました。

滋賀県では、公共交通を支えるために
「交通税」を導入したいと知事が発言してから、
メディアの注目がそこに集まっています。
これまで日本では公共交通の運営は民間会社が担っていることが多かったのですが、
人口減少やモータリゼーションの進行により民間では支えきれなくなり、
全国的に問題となっています。
移動することは人間の基本的な権利の一つであって、
民間で無理なら人権を保障するため行政が手を打つことは必要でしょうし、
そのための資金を確保することは大事でしょう。
だけど、ただ税金が自分の財布からさっ引かれるだけでは、
公共交通が地域に果たす役割についての一般市民の理解は進まず、
積極的に利用しようという人が増えるわけでもありません。
市民の中に「公共交通は自分の暮らしに大切なもの」
という思いが育たないことには先細りは必至です。

そこで、福井のように市井の気運を高めようと、
交通まちづくりの仲間をつくるフォーラムを滋賀で仕掛けることになりました。
2024年から上下分離方式に移行する近江鉄道線を題材にして、
まちづくりに鉄道を活かす手法を講演とワークショップ等で学び、
交通まちづくりプロデューサーへの道を拓くための企画です。
皆が幸せに暮らせるまちを、公共交通を活かすことにより、
市民が創っていく、そんなモデルを生み出して、
同じ問題に悩む各地に広がればいいなと考えています。
フォーラムは10月から始め、遠方の方はオンラインでも一部参加できます。
まちや交通の問題をなんとかしたいなあと思われる方は、
情報や仲間を見つけにいかがですか?     (げの字)

連続フォーラム「まちづくりと交通の広場 しが2023」
(こまち広場しが)10/9〜12/16

(参考)
外部サイト:モビリティウィーク&カーフリーデーふくい

関連コラム:環境市民メールニュースVol.731より
カーフリーデーで文化を変える

<今週のコラムニスト>
ペンネーム:げの字
環境市民の設立3年目からの会員で、かつて事務局スタッフとして広報や環境教育を担当。
現在は滋賀県内で自転車通勤やエコ交通の推進のため、日々スポーツバイクと公共交通で駆け回っている。