カーフリーデーで文化を変える | 認定NPO法人 環境市民

カーフリーデーで文化を変える

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

カーフリーデーとは、
その日は指定エリア内でマイカーの通行規制を行い、
クルマがない空間を体験することで、交通のあり方を
市民が考える機会にしようというものです。

1997年、フランスの一都市から始まったカーフリーデーは
翌年フランス全土に広がり、次いで欧州委員会にも広がり、
今ではヨーロッパモビリティウィーク&カーフリーデーとして、
世界の3000弱の都市が参加するイベントになっています。

地方自治体が主体となって交通政策を行うと同時に
市民への啓発を行うのが、本来のカーフリーデーの姿です。
ですが、日本においては交通規制をすることが難しいとのことで、
市民団体が主体となった啓発イベントが中心に行われています。
自治体が主催している場合でも、交通政策よりも啓発が主になっています。

滋賀県日野町は今年初めてカーフリーデーにエントリーしました。
関係者で構成する推進協議会の主催で行われましたが、
実質的に町がプロジェクトをリードし、
通勤交通からマイカーを減らす取組を行いました。
エリアを走る交通事業者と、町内の複数の企業を巻き込んで、
路線バスに臨時バスを加えた6路線が当日は実現し、
普段はマイカーで通勤する人たちがその日は無料になった鉄道やバスで移動しました。
また、滋賀県知事と日野町長、企業の代表、国土交通省、環境省、
鉄道・バス・タクシー事業者、地元の名士らが一堂に会し、
これを契機に今後の交通のあり方を考える意見交換会が行われました。
単なる啓発に終始しがちな日本のカーフリーデーに
新風を吹き込むような取組だったと思います。

さらに終業後の夕方以降は、
役場横の公園と日野駅前でカーフリーフェスタが開催され、
間を結ぶ無料シャトルバスも盛況、
多くの若い市民や子どもが集まってにぎわいが生まれていました。

日野町は滋賀県内でもっともクルマの利用率が高いまちです。
カーフリーデーはきっかけの一つに過ぎませんが、
町がマイカー通勤を本気で減らすと決めて、関係者を口説いて回ったことで、
「考える余地もなくクルマが当然」の意識が少し揺らいだように感じられました。
その意識をもっとはっきりと揺さぶり、習慣を変え、
文化を変えるにはまだまだ遠い道のりですが、
確実に一歩は踏み出したと思えた日野町カーフリーデーの一日でした。
(げの字)

●参考 日野町カーフリーデー2022 カーフリーフェスタ in日野
& 日野駅ライトアップコンサート(外部サイト)

<今週のコラムニスト>
ペンネーム:げの字

環境市民の設立3年目からの会員で、かつて事務局スタッフとして広報や環境教育を担当。
現在は滋賀県内で自転車通勤やエコ交通の推進のため、日々スポーツバイクと公共交通で駆け回っている。