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その取組は、本当にサーキュラーエコノミーに向かっているのか。
カテゴリ: 電子かわら版コラム | 更新日:
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サーキュラーエコノミーとは、
様々なものを繰り返しリサイクルすることで
環境負荷を小さくする経済だと思う人が少なくありません。
しかし、どんなにリサイクルを行っても、
大量生産、大量消費に目をつむっていたのでは、
環境負荷が小さくなりません。
一体、サーキュラーエコノミーは、
リサイクルと何か違いがあるのでしょうか。
リサイクルを含む3Rとも異なるのでしょうか。
イギリスのエレン・マッカーサー財団は、
サーキュラーエコノミーの3原則として、
廃棄物・汚染などを出さない設計をする、
製品や資源を使い続ける、自然のシステムを再生する、
ことを掲げています。
また、経済産業省が2020年に策定した「循環経済ビジョン2020」では、
サーキュラーエコノミーのビジネスモデルとして、
製品の設計段階では長期使用可能な製品・サービス設計、
生産段階ではIoTの活用による需要に応じた供給の徹底によるロス削減、
利用段階ではシェアリングや中古品のリユース、
廃棄段階では製品自主回収等を通じたリサイクルの推進などを挙げています。
なるほど、誤解を恐れずに大雑把に言えば、
現状の3Rでは、かなりの焼却処分が発生することを許しており、
各自治体の呼び掛けにも関わらず可燃ごみの袋の中には
紙やてんぷら油などの資源ごみが多く含まれていますが、
サーキュラーエコノミーでは、
焼却処分と環境負荷のゼロ化を目指すということではないでしょうか。
この違いは、既製服の国内供給量が1990年比で約2倍になっている
アパレル業界のように、国内には、大量生産、大量消費に頼っている企業が
少なくないため、3Rがリサイクルに偏っていることによって生じます。
そう考えると、サーキュラーエコノミーとは、換言すれば、
2R(リデュース・リユース)を優先することではないかと思います。
つまり、食品の場合であれば、徹底した需要予測に基づく生産、
賞味期限の近い食品のフードシェアリング、
客の要望に応じた提供量の調節などを行ったうえで、
最終的にどうしても発生する生ごみについては飼料化、
堆肥化することがサーキュラーエコノミーの取組になるわけです。
もし、サーキュラーエコノミーという言葉を安易に使う人や企業がいれば、
3Rとの違いを端的に説明できるか、2Rを優先できているかを
聞いてみてはどうでしょうか。
例えば、食品ロス削減を目指さずに
「生ごみを堆肥化しよう」とだけPRしていれば、
環境負荷は小さくないので、パフォーマンスと言わざるを得ません。
(くらげ)
<今週のコラムニスト>
ペンネーム:くらげ
小さい頃から、曲線に心惹かれています。
海も空も曲線が美しい。
曲線が持つ無限のバリエーションはすばらしく、
変化する様子は見飽きません。
曲線への興味を通じて、気候の勉強を始めたような気がします。
いつまでも、きれいな曲線を残したい。