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チームマイナス6%の時代から進歩してる?
カテゴリ: 電子かわら版コラム | 更新日:
このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。
カーボンニュートラル、ゼロカーボン、CO2ネットゼロ、実質ゼロ、脱炭素、炭素中立。
気候危機を脱するためのキーワードはいろいろな表現がありますが、意味することは同じ。
温室効果ガスの排出量と、森林など自然界が吸収する量(と人間による回収量)のバランスが取れていて、空気中に温室効果ガスの量が増えていかない状態を指します。
カーボンニュートラルを考えるなら、まず、現代の日本人が出しているCO2の量は、
日本の森林が吸収できる量に比べどのくらい多いのか、ということを知らなければなりません。
答えは、約20倍。日本人が出していいCO2の量は現在の20分の1。
つまり、95%の排出削減が必要ということになります。
「……えっ!?」
市民向け講演の冒頭でこのデータを示すと、全員が凍り付きました。
話を聞いていたのは、これまで暮らしの中でこつこつと省エネ努力をされてきた皆さんです。
しかし95%削減の数字の前では、
そんな小さい取り組みの効果はほぼ吹っ飛んでしまうということに気づき、動揺が走りました。
日本がカーボンニュートラル宣言をしたのは2020年です。
そこから4年経っても世間の認識は京都議定書の時代、
チームマイナス6%の頃からほとんど変わっていません。
それもそのはず、啓発のために発信されている情報は
「冷房温度は28℃」「買い物にはマイバッグ」と変わりばえのしないものが多いからです。
ちまちま積み上げても間に合わない、減らすのは大きいところから!
と、パワーシフト*や太陽光発電システムの設置など、
暮らしに再生可能エネルギーを採り入れて脱化石燃料をはかること。
そしてエネルギー消費が多いところから減らすため、住宅の断熱化、
家電製品のリストラ、脱マイカー依存を進めれば約8割は削減が可能とお伝えすると、
こわばった皆さんの顔が明るくなりました。
もうすぐ夏がやってきます。昨年に引き続き、今年も厳しい猛暑と予測されています。
東京都の真夏日(25度以上の日)は1980年代に比べ
2020年代の日数はなんと1カ月分ほど増えているそうです。
これ以上の気象災害をましにするためには、
どうすれば目標の数値まで削減できるかを逆算して考えなければなりません。
こまこました取組も大事ではありますが、
それよりは大きく減らすための思い切った手を打ちたいですね。
そして、あちこちで見られる啓発も時代に合わせてアップデートしてほしいものです。
(げの字)
*パワーシフト
契約する電力会社を再エネ主体の会社に切り替えること
<今週のコラムニスト>
ペンネーム:げの字
環境市民の設立3年目からの会員で、かつて事務局スタッフとして広報や環境教育を担当。
気候変動問題には1997年のCOP3の頃から取り組む。
気取らず無理せずお金を使わないエコ生活を徹底実践することを楽しみながら発信しているエコロジスト。