普通の市民が国の補助金を取るのは無理!? | 認定NPO法人 環境市民

普通の市民が国の補助金を取るのは無理!?

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

昨年度、国土交通省の補助金を受けて、ある事業を実施しました。
少数精鋭のメンバーで、運営はやや人手不足だったものの、楽しく意義深いものができて優れた成果を上げることができました。

問題は終了後です。
報告書を作成して提出すると
「これでは不十分です。手引きをよく読んでください」
と事務局から返信が来ました。
よくわからず「具体的にご指摘ください」と返したものの、
多くの団体とやりとりしているからか、返事がありません。
期限の1週間前に、
それまでやりとりしていた担当者の上の方からようやく電話がかかってきて、
提出書類に何が足りないのかがそこでやっと判明。
70ページ超もある手引きには書いてないやん、もっと早く言えー!
そこから寝られない日々が始まりました。
毎日早朝から一日中、書類の作成を行い、足りないものを人に頼みまくり、
徹夜も交え、最終日には細々とした指示に出先から速やかに対応し、
ぎりぎり滑り込みセーフとなりました。

国の補助金を取ると大変だという噂は聞いていましたが、いやはや。
コンサルタント会社に勤める知人によると、国交省はまだましな方だそうで、
他省庁からの補助金はもっと厳密で面倒くさいのだとか。
やってみて思ったのは、こんな補助金の事務に対応するのは
プロでないとほぼ無理だということです。
私たちのメンバーには経験者はおらず、
素人集団で乗り込んだために回り道をしてしまいました。
市民団体として事業自体は自信を持って良いものができたと言えるだけに、
コンサルか公務員のように手慣れた人がいないと遂行不能というこの状況は、
何かが間違っているのではと思わされました。

今年度も引き続き補助を受けて活動を継続したいと考えていますが、
事務の担い手を考えると腰が引けます。
コンサルの知人のところには、
今年度も募集があるこの補助金の事務局を引き受けてくれという依頼が
自治体や企業からたくさん届いているそうです。
しかし、プロがやるには金額が割に合わないようで、なかなか難しそう。
税金を使うのだから適切に運用してほしいという国の担当者の心はわかりますが、
結果的に参入障壁を作ってしまい、大切な事業の芽を摘んでいることに、
本末転倒感を持ってしまったのでした。
(げの字)

<今週のコラムニスト>
ペンネーム:げの字
環境市民の設立3年目からの会員で、かつて事務局スタッフとして広報や環境教育を担当。
市民活動コーディネータを生業とし、様々な市民プロジェクトの事務局を回している。