気候危機を止めるリーダーとは? | 認定NPO法人 環境市民

気候危機を止めるリーダーとは?

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする
「カーボン・ニュートラル」あるいは「ゼロ・カーボン」「CO2ネットゼロ」が
世界の共通目標になりつつあります。

滋賀県が主催するユースを対象とした
「CO2ネットゼロを考える次世代ワークショップ」の運営に今、
私は関わっています。
その企画運営の中心を担っているのは20歳ぐらいの若者たち。
グレタ・トゥーンベリさんに触発され活動を始めた滋賀チームです。

このワークショップが先週から始まりました。
17歳から26歳までの十数人が集まり、3日にわたって学びと対話を重ねました。
最初はそれほど知識があったわけではない参加者は、
自分と同じ世代のスタッフが伝える暮らしに身近な話に目を見開き、
また現場の実践者である専門家の講義を食い入るように聞き入っていました。
お話を聞いた後は、未来の社会のありたい姿や、
そのためやるべきこと、自分が取り組みたいことについて対話しました。

ディスカッションを傍で聞いていて思ったのは、
ユースたちは実に賢い、ということです。
今の社会経済のシステムがおかしいこと、
みんなにとって大切なものは個人の所有とせず
社会的共通資本と位置づけるべきということなど、
社会の持続可能性を考える上で大切な概念に、
当たり前のように気づき、考えることができることに驚くばかりです。

一方で、仕事でお付き合いのある企業人や行政の方、
立派な大人として生きてきたはずの人々は、
これまでの社会のあり方に囚われ
抜本的な改革が必要なことに手を付けることができません。
歳を重ねるということは、それだけ物事の本質に気づく力を失わせ、
イノベーションから遠ざかるということなのだと、
自分自身も年齢が上がってきて自覚するようになりました。

気候変動防止の議論をリードしているEUでは、
各国のリーダーたちの平均年齢は50歳です。
30代での就任も少なくありません。
一方で日本の現首相は71歳。
激変する現代社会の舵取りをするにふさわしいのでしょうか。
自分を含め、おおむね昭和世代は有無を言わさず第一線を退き、
リーダーは30代以下の人々にした方が、
世の中はよくなるのではないか、国も自治体も民間も、と強く感じています。

2050年にゼロ・カーボンをという厳しい目標を達成するためには、
「しかし」を繰り返すばかりの現在のリーダーたちではなく、
「そのためにどうするか」を考えられる若い世代を、
リーダーに据える必要があるのではないでしょうか。
これを読まれている40代以上の皆さん、上の世代を引き連れて、
ご一緒にリーダーの座を譲ってサポート役に徹することにしてはいかがでしょう。
(げの字)

<参考>
温暖化は人間が原因=IPCC報告 「人類への赤信号」と国連事務総長(BBCニュース)

Create a Sustainable Tomorrow 2021>
(滋賀県CO2ネットゼロを考える次世代ワークショップ)

<執筆者紹介>
ペンネーム:げの字
環境市民の設立3年目からの会員で、かつて事務局スタッフとして広報や環境教育を担当。
プロジェクト運営支援などで(スポーツバイクで)駆け回る日々を過ごす。
ベジ料理と家庭菜園が趣味。