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環境市民の引っ越しで出てきた資料やその他、数々のエピソードを紹介します
カテゴリ: 元事務局長 堀のブログ | 更新日:
このコーナーは,2002年から2013年まで環境市民の事務局長を務めた堀孝弘が,在職時に書いたブログを掲載しています。
《環境市民は引っ越しました》
NPO法人環境市民は、2011年11月引っ越しました。引っ越し先は元の事務所から西に2筋の麩屋町通二条下る。新住所は、〒604-0934 京都市中京区麩屋町通ニ条下る尾張町225番地 第二ふや町ビル405号室です。電話、FAX、メールアドレスは変更ありません。
写真は引っ越し作業中の光景(旧事務所でのひとコマ)
《麩屋町通りの読み方、由来》
麩屋町通は「ふやちょうどおり」と読みます。変わった通り名ですが、麩、豆腐などを作るお店が集まっていた通りの名残と思われます。元の住所の寺町通りも、1580年代、豊臣秀吉による京都再建時に、市内に散在するお寺を集めたことに由来します。
元の事務所の南150mほどに有名な本能寺がありますが、もともとその場にあったのではなく、本能寺の変の後、場所を移されたものです。ですので、織田信長が亡くなったのは、現在の本能時が建っている場所ではなく、西南西に2kmほど離れたところでした。
ついでながら、京都の町家と言えば表通りに面した格子窓が特徴的ですが、糸屋格子、染屋格子、酒屋格子など業種によって、格子のデザインが異なっていました。格子を見ると何屋さんかわかるようになっていたのです。格子デザインのなかに、麩屋格子というものもあります。
《20年以上、貯めた資料・資材諸々》
今回の事務所は3度目。以前の事務所には16年居ました。団体の設立から19年。前身団体も含めれば四半世紀以上の歴史があります。その間の様々な資料が溜め込んでありましたから、その整理作業が必要でした。「とりあえず」で保存したものや、「いつか使うだろう」と思い使い道がなくなったものなど、数多くありました。その量が生半可ではありません。20坪の事務所によくこれだけの書類・紙・資材が入っていたな、と思うほど。古紙回収だけでも、軽トラで4〜5回来てもらいました。
過去に作製した資料や教材のなかには、まだ活用できるものもあり、京エコロジーセンターに寄贈したものもあります。
《発掘された資料、日本の環境NGOの歴史》
もちろん処分したものだけではなく、資料整理のなかで多くの懐かしい資料も見つかりました。なかには、日本の環境NGOの歴史遺産というようなものもありました。
・1992年6月ブラジルで開催された地球サミット当時の資料(アジェンダ21英語版など) 地球サミット開催の翌月(1992年7月)、環境市民は発足しました。
・1995年の阪神淡路大震災発生の資料。 震災発生後、環境市民は活動を停止し、神戸に出張所を設け、行政の支援が届きにくい人たちに支援物資や、診療をやっている施設の情報などを届けていました。その当時神戸で作っていた手描きの情報資料が出てきました。
・1996年「気候フォーラム」の立ち上げ時のチラシ 1997年京都で開催された地球温暖化防止条約会議に関する資料のなかには、気候ネットワークの前身「気候フォーラム」の立ち上げ時のチラシもありました。気候フォーラムの立ち上げ時、環境市民内に間借りしていたのです(気候フォーラムが現在の気候ネットワークの事務所に引っ越す際、荷物を積んだトラックを運転したのは私です)。
その他、海外から持ち帰った珍しい容器包装など、お宝グッズも見つかりました。これらは別途紹介します。
《貴重な資料が閲覧できる場に》
今回の整理で“発掘”されたものだけでなく、未整理のまま置いてあった資料も含め、「ここだけにしかない資料」が多々あります。これらは近々整理して誰でも閲覧できるようにしたいと思います。
・企業の環境報告書・CSR報告書
90年代中頃から、企業が環境報告書・CSR報告書を発行するようになりましたが、その頃からの各社の報告書類。
・全国の環境団体が発行している会報
・各地自治体の環境基本計画
・今では他で見ることのできない環境図書
・環境市民が全国の環境団体と取り組んだ「日本の環境首都コンテスト」の毎回の報告書や先進事例集
・環境市民をはじめ、全国の市民団体が地域のスーパーマーケットの環境の取り組みを調べた「買い物ガイド」など。
《人が集い、育ち、巣立ち》
京都には、環境活動のスタートが環境市民で、「元をたどれば環境市民」という人が結構いらっしゃいます。気候ネットワークの事務局長、京アジェンダ21フォーラム現事務局長と前事務局長。京エコロジーセンタースタッフには歴代5〜6名。きょうとNPOセンターにもひとり。前身団体も含めたら、京都府温暖化防止活動推進センターの前事務局長もそうですし、現在大学教員をやっている人のなかにも何人かいます。
そんな人たちの写真や足跡を示すものが次々と出てきました(なかには「ちょっと、これは公開できないな」と思う写真もあったりして…)。もちろん、肩書きのある人ばかりではなく、今では連絡のつかない人も多くいます。懐かしさとともに、ありがたさを感じます。
もちろん、環境市民では物足りず、新たな活躍の場を見つけて巣立っていかれた人も多くいます。1民間NGOの力の限界でもありました。ただ、現在多くの人が活躍している団体および施設の設立や立ち上げに、環境市民は多くの汗を流してきました。そのことも私たちの誇りのひとつです。
もうひとつ、意外な(?)エピソードを紹介します。人が出会い意気投合すれば、好意も恋も生まれます。環境市民でのボランティア活動で出会い、ゴールインしたカップルも10組ほどになります。「出会い系NGO」なんて表現も…?(これまでに「わかれた」という話は1件も聞きません)
環境市民で情報や機会を得られた人は、総計すればどれほどになるのでしょう。数千、ひょっとしたら数万人? さて、私にもよくわかりません。
《これまでの活動 その一部》
「日本の環境首都コンテスト」や「グリーンコンシューマー活動」「エコ地蔵盆」、これから取り組む「グリーンウォッシュ」などは、環境市民のホームページ本体で詳しく紹介されていますので、それ以外の活動で「なつかしい」と思ったものを紹介します。
・農地を借りて自然農法に取り組んだエコファーム(京都市西京区大原野)
・京都西山に里山を借り、山小屋を建て環境教育に活用(現在も継続しています)
・京都自転車マップの作成(一時、毎月のように自転車ツアーを実施していました)
・国内・海外の雄大な自然、環境先進都市をめぐったエコツアー
・京都の神髄を知る大人のエコツアー(一般の観光では体験できない場所を巡りました)
・就活にCSRセミナー(イオン、パナソニック、村田製作所などが来てくれました)
・環境入門講座「野の塾」(昨年から再開しましたが、震災以降休止しています)
・学校の先生のための環境教育セミナー
・エコ修学旅行 ・エコファイターショー(みどりの絵かきやさんワークショップなど)
・京都自然めぐり 自然遊びマスター講座・子どもと遊べる大人になろう
ここにあげたものは自主事業として取り組んだもので、企業や自治体から委託を受けて実施した事業は掲載していません。しかもごく一部です。多くのボランティアの人たちが集い、アイデアを出し合い、ユニークな活動が生み出されてきました。このような活動に関する資料も多く出てきました。
《新事務所はこんなところ》
さて、新しい事務所はどのようなところでしょうか。これまでの事務所より1割強広く、家賃は3割近く安いんです。安いだけが魅力でなく、窓が多く、かつ付近は低層の建物が多く、日当りがとても良いのです。
別の投稿で新事務所の窓から見える景色や付近の光景などを紹介します。