6 自治体とグリーンコンシューマー | 認定NPO法人 環境市民

6 自治体とグリーンコンシューマー

文:杦本 育生

自治体のグリーンコンシューマー活動への関心と、民間団体との協同もかなりの展開を見せるようになってきた。自治体がグリーンコンシューマーに関心をいだいた最初の段階は環境教育、消費者教育のものが中心であった。90年代中盤ごろから、各地の自治体で住民向けに環境問題の講座が開催されるようになった。その中でも教養的な講座より生活の実践に結び付く講座が求められることになり、グリーンコンシューマーの講座が開かれ、各地の実践している団体のリーダーが講師として招かれるようになった。筆者の所属している環境市民への依頼も、ここ5年ほどグリーンコンシューマーをテーマにしたものだけで年間80回程度ある。また環境市民で開発した体験的学習の「買い物ゲーム」も各地の自治体の主催でも実施されている。このようなグリーンコンシューマー講座は、ごみ問題への対応という点でも注目されている。なぜなら分別リサイクルが各地で自治体も含んで取り組まれるようになったが、ごみの減量という点では出口対策である分別リサイクルだけでは十分な効果をあげることはできないということが、自治体の担当者や地域の消費者運動のリーダー層にもかなり認識されるようになり、それにかわる根本的なごみ減量対策として、グリーンコンシューマー活動が認識されるようになった。また97年に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)を契機として、日本の自治体においても地球温暖化対策が求められるようになり、その一環として住民向けの実践講座が開催されるようになったが、ここでも具体的かつ効果的な行動を提案しているグリーンコンシューマー活動が講座として取り上げられるようになった。
さらに単発の講座だけでなく、99年度以降、グリーンコンシューマーの地域活動リーダー養成講座を自治体が主催する形で行なわれるようになった。環境問題への具体的な取組として地域でのグリーンコンシューマー活動が活発になることを自治体として願っているところが増加してきている。ただグリーンコンシューマー活動の特性を考えると自治体自ら取り組むわけにはいかないので、地域で自主的に活動してくれるリーダーの養成を図ろうというものである。具体的には地域版買い物ガイドをつくる担い手を養成する講座で、環境市民から講師を派遣して、埼玉県、島根県、大分県、香川県、埼玉県草加市及び福井県武生市でで実施された。このうち草加市では受講者が中心になつて草加市版買い物ガイドが作られるという成果もあがっている。また、兵庫県では県がサポートする形で消費者による買い物ガイドの作成がなされたが、その編集を環境市民が支援した。
99年度に大阪府では、府、大阪の消費者団体のネットワーク、ジャスコ、ダイエー、マイカルの3チェーンとともに環境市民が加わり「グリーンな買い物」キャンペーンを実施した。このキャンペーンでは各チェーンから推奨のあったエコ商品候補をNGOと専門家が吟味し、コンセンサスが得られた商品に統一した推奨マークを付けてモデル店で販売促進をしました。期間と店舗が限定されていたため、大きな影響力はなかったたが、市民、自治体、事業者がパートナーシップで推奨商品を決めていくという、今後のグリーンコンシューマー活動にとって意義のある試みであった。
さらに、福井県武生市では00年度から経済企画庁(現内閣府)の環境調和型ライフスタイルのモデルプロジェクトとして『買い物からごみ減らし円卓会議』を設置した。武生市内のスーパーの店長、コンビニの代表、商店連盟、卸売り市場、農協などの事業者、市民の環境グループ、消費者グループ、女性グループの方、市の環境、生活、清掃、教育委員会の方に専門家として大学教授と環境市民、そして経済企画庁(現内閣府)が加わっている。この円卓会議ではグリーンコンシューマー手法を用いて、どのセクターにも利益のあるごみ減らしの地域的社会実験を目指して討議を重ねている。
また埼玉県、東京都、香川県では県が民間団体や事業者とともにグリーンコンシューマーをすすめるネットワーク組織を設置している。

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