1.2 地球温暖化問題と日本の環境NGO | 認定NPO法人 環境市民

1.2 地球温暖化問題と日本の環境NGO

文:杦本 育生

地球温暖化問題に対して、世界的には環境NGOの影響力は少なくないものがある。一例をあげれば気候変動枠組条約そのものも環境NGOの提案と強い働きかけをバックにして成立している。
特に地球温暖化問題に専門的に取り組んでいる環境NGOは世界的にCAN(Climate Action Network )というネットワークを組織し、協同して政策提言や各国政府への働きかけなど活発な活動を行っている。気候変動枠組条約締約国会議は各国政府が議決権をもっているが、NGOも重要な参加者として認識されておりCOP3においては世界から約1500名のNGOメンバーの参加が見込まれている。そのためホスト国の日本政府だけでなく、NGOもホストとしての役割が求められる。
COP3の日本開催が決まり、地球温暖化問題への関心を高め行動を促すキャンペーンとCOP3のNGOサイドのホストを担う団体が必要になった。日本においては、気候変動問題に対してそれを主要な活動分野としてとらえてきた環境NGOは、従来は余り多くなかった。このような状況の中、その役割を果たすものとして96年12月1日(COP3の丁度1年前)に「気候フォーラム-気候変動/地球温暖化を防ぐ市民会議-」が発足した。気候フォーラムは、COP1の時にドイツの環境NGOが連合してつくったクリマ・フォーラムをモデルとしており、NGOのアンブレラ(ネットワーク)組織で97年7月末現在152団体が加盟している。この中の多くの組織は他の環境問題を主たる課題としているところや社会貢献活動をしているところであるが、地球温暖化問題の原因と影響が広い分野に及ぶことから、むしろ当然の広がりだと考えられる。また京都、滋賀、兵庫、愛知、九州、長野では地域のネットワークもできている。このようにCOP3を迎えるにあたって、かなり日本国内のNGO活動は広がりつつあるが、まだ廃棄物問題ほどには国民や自治体の関心が高まっているとは言える状態ではない。

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