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3.3 廃棄物と二酸化炭素の削減の優先順位
文:杦本 育生
日本と同じような「先進国」でありながら、環境問題に関してはドイツは1歩も2歩も先を行っていることは認めざるをえない。決して理想的であると言うわけではないが、市民、環境NGO、自治体、企業の自主的な工夫あわれる取組、経済的インセンティブの巧みな導入、「循環経済法」などの法整備など、実際に行動しながら解決を図っていこうという姿勢が明らかに見られる。
そのドイツにおいて廃棄物問題への取組として明確にされている優先順位があることは、日本でもよく知られている。まず、廃棄物そのものを発生させないこと、そして次にリサイクル、そして適正な処理である。日本ではこの優先順位がいまだ不明確であり、リサイクルがごみ減量の最大、最高の手段のように扱われている。
さて、ごみに関する二酸化炭素発生を削減する方法は、上記の例からも明らかのようにごみ減量と同じ優先順位をもっており、廃棄物を発生させないこと、次にリサイクル、そして適正な処理である。
家庭ごみに関して言えば、リサイクルによる二酸化炭素削減は、焼却処理等にかかる1人年間80.6kgの排出量中で減らすための工夫である。ただしリサイクルそのものに必要とするエネルギーがあり、またアルミ缶の例にあるようにリサイクルを上回る消費の増加があれば、削減どころか二酸化炭素の増加の免罪符的なものとしてリサイクルが使われる危険性さえある。一方、ごみそのものの発生を抑制する方法をとれば、ごみになるものの製造と焼却処分に関する二酸化炭素発生量である年間一人当り182.3kgを削減する取組となるのである。(2.2.1参照)