21世紀、地球を、地域を、生活を、持続可能な豊かさに
5 環境と経済と社会的公正
文:杦本 育生
リオデジャネイロで1992年に開催された国連の環境と開発に関する会議、通称「地球サミット」で、現在の人類社会の最も大きな課題は持続可能な社会を築くことであることが確認された。しかし、環境問題、資源の枯渇、食糧生産と分配の不平等、南と北の国の豊かさの格差、人口の爆発的増加など、どれをとってもこのまま成り行きに任せていたら、人類は危機を迎えることは明白である。
持続可能な開発、社会とは、環境保全とともに経済活動が安定して発展し、福祉や人権などの社会的公正が増進することと考えられている。ただ、このようなに3つの要素がうまく調和することは、非常に難しいと思われがちである。しかし、実際的には限られた地域の人的資源、財政を考えればこのような3つの要素にとってプラスになるような施策や活動にこそ、地域社会はその力を傾注していくことが必要になっている。それを阻んでいるのが縦割りの行政システム、目先の経済的利益の優先、地域社会のビジョンの喪失、そして「豊かさ」の価値観の尺度が経済的なもの中心になっている現代人のパラダイムであろう。
この3つをうまく調和させている事例は、実際には結構存在しているが、その事例については別途、紹介することにしよう。