「結局は人」を形にする試み | 認定NPO法人 環境市民

「結局は人」を形にする試み

このコーナーでは環境市民の事務局スタッフを中心に、今すすめているプロジェクトのナマ情報や、スタッフならではの思いや気づきをお伝えします。

はじめまして。
風岡宗人(かざおかむねと)と申します。
環境市民の事務局スタッフになって、まもなく10年になります。
今年3月に第二子が生まれ、仕事を終えて家にかえったら、だっこに銭湯に、と自分の時間がない〜というなか、余暇は自らつくりだすもの、と自分に言い聞かせてなんとか毎日やってます。

閑話休題。

先日、龍谷大学と環境市民が共同開講している「環境自治体ガバナンス改革能力開発プログラム」が終わりました。これは、京都の8大学が連携して実施する「地域公共人材大学連携事業」のなかで実施しているもの。

社会を変えようという活動をしていて、いつも突き当たる「結局は人だよね」という壁。
日本は、社会的な課題を解決する人材の育成やそれらが活躍できる仕組みができていない。
求められる専門性はなにも大学や大学院などを経ないと身につけられないものではない。
自治体や企業、NPOの現場には、とても専門性の高い人材がたくさんいる。
にもかかわらず、終身雇用という慣行の旧弊やセクターの壁や専門性を共通の物差しで評価する仕組みがないため、人の動きが硬直化している。
そこで、一定のプログラムを受講して認証を受けると「地域公共政策士」という地域資格が授与されて、専門性が社会的な共通認識のもとで評価される。こんな仕組みが来年度から始まります。

「環境自治体ガバナンス改革能力開発プログラム」は、このための試験運用という位置づけで、今年の5月から5科目を開講してきました。

開講科目は次の通り。
・パートナーシップ論研究(前期)
・環境自治体評価指標(夏期集中)
・持続可能な地域社会づくり1【研究】(後期)
・持続可能な地域社会づくり2【政策】(前期)
・持続可能な地域社会づくり3【実践】(後期集中)

タイトルだけだとわかりにくいですが、地域社会のガバナンス能力をつけるという目標の下、パートナーシップとは何かという理論、国内国外の先駆的取り組み事例、課題などを学ぶ座学から、コーディネート能力をつけるワークショップまで、NPOメンバーや大学教授など多彩な講師陣で構成されています。

大学とNPOの共同開講という形態自体、あまり例のないこと。
最初から最後までは運営も手探り状態で、反省点も多くありました。
受講者からもよかったところ、改善すべきところなどいろいろ意見をいただいて、次年度は改善版を実施していくことになっています。

先日、龍谷大学で「生涯教育社会実現に向けた職能教育と高等教育の役割についてーEU共通資格フレームワーク開発の現状からー」というシンポジウムが開かれました(主催:地域公共人材連携事業等)。
EU諸国では、上記のような仕組みが回り始めています。
いろんな課題があるでしょうが、大学が「象牙の塔」の殻を破り、地域を巻き込んですすめるプロジェクトとしてみなさんも注目して頂けたら、と思います。

一方、環境市民では国内22市町といっしょに「人材流動化」の仕組みづくりも実施中。
これも人が動きやすくするための仕組みの一つですが、また別の機会にご紹介します。