まちの節電、こんなことできるはず 8 | 認定NPO法人 環境市民

まちの節電、こんなことできるはず 8

このコーナーは,2002年から2013年まで環境市民の事務局長を務めた堀孝弘が,在職時に書いたブログを掲載しています。

【 儲かっていない飲料自動販売機も多い。夏の間、販売停止した方が良いのでは! 】

2010年末の全国の設置台数は395万台。うち飲料自販機は259万台(稼働していない自販機を含む)。よく「全ての自動販売機を動かすのに必要な電力は、原発1基分」などと言われますが、コスト面から飲料自販機について考えてみました。

全国の飲料自販機の総売上は年間2兆3600億円※。1台当りにすると91万1400円。91万円というと、大きな額に思えますが、商品仕入や電気代も必要です。場所を提供して、飲料自販機を設置している人や店舗は儲かっているのでしょうか。

定格出力600Wの省エネタイプの飲料自販機を24時間30日間稼働させると、月間の使用電力は432kWh。一般家庭と同じ電気代で計算すると1ヶ月約1万円程度の電気代が必要です(契約内容や電圧によって電気代は違います。また自販機側の使用状況や設置場所の日当りなどによっても消費電力は変わってきます。)。

平均的な売上(91万円)が確保でき、売上マージンが仮に20%であれば、電気代を差し引き手元に年間約6万円の純利益が残ります。月にすると5千円。ほぼトントンです。自販機周辺の清掃などを考えたら、手間の方が大きいかもしれません。
人通りの少ない場所や、すぐ近くにコンビニや他の自販機があるなど「条件の良くない場所」に設置されている自販機もあるでしょうから、赤字の飲料自販機も多いことでしょう。
自販機を設置して飲料を販売しているベンダー企業にしても、競争の激しさから、マージン25%も当たり前になりつつあるとかで、飲料販売企業の自販機部門はほとんどが赤字とか。

今年の場合、節電が求められ、暑い日中でもエアコンをがまんして尾内に居ても熱中症になる人が続出しています。こんな時は、利用者が少なく日頃から赤字を出している自販機、すぐ近くに店舗がある場所(特に店舗前や店舗内の設置)、複数台並んで設置されている場合はその半数など、思い切って販売停止にすれば良いと思います。

強制的な処置としてできなくても、上にあげた条件なら利用者にとっても不便ではなく、設置者も思い切りやすいのではないかと思います。せめて期間限定で8月だけでも取り組んだら、また、きっとご近所からも「よく思い切った」と声がかかることでしょう。飲料メーカーも「社会貢献」のひとつとして、真剣に検討してほしいものです。

次回は、飲料自販機と一般世帯の消費電力を比較してみたいと思います。

※ 台数と売上は、一般社団法人日本自動販売機工業会「自販機データ