気候変動による食糧不足は目の前に | 認定NPO法人 環境市民

気候変動による食糧不足は目の前に

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

今年の6月から8月の東日本の平均気温は平年より2.3度高く、西日本でも平年を1.7度、北日本では3.4度も上回っており、1946年の統計開始以降の最高記録だったそうです。
これまで最高だった一昨年と昨年よりも大きく上振れしています。

厳しいのは暑さだけではありません。雨が少なく乾燥続きもあり、農作物にも大きな被害が出ることが予想されています。
昨年の秋から冬にかけてキャベツが1玉1000円近くなる
という高騰を見せたことを覚えているでしょうか。
夏にまいた種が育たずに枯れてしまったためです。
今年はそれよりひどいと言う農家の方もいます。

昨年から今年の米騒動も、猛暑によるコメの品質低下が原因のひとつでした。
きちんと実ったように見えても、米粒がもろくなっており、
精米してみると割れてしまうので、玄米から白米にするときに目減りをするのです。
異常な暑さと水不足にさらされた今年も豊かな実りは期待できそうにありません。

私が覚えている限り、1995年のIPCC第2次報告書*の頃から、
温室効果ガスの排出量は今すぐ80%以上削減しなければならないと報告されていました。
さもなくば気温上昇が起こり異常気象が頻発し、
これまでの農業のやり方は通用しなくなるであろうと。
あの警告から30年、それをまじめに受け止めなかった結果を今まさに私たちは体験しています。

異様な猛暑については、日本に住む生活に余裕のある人なら、
空調によりダメージを小さくすることができます。
しかし自然界の生きものはそうはいきません。
年々ひどくなる地球からのしっぺ返しを前に、
暮らしが成り立たなくなる瀬戸際に私たちはいます。
今日から対策を始めても気候変動の影響はこれから何年も続きます。
こんな時代なのに選挙の争点に気候変動がまったく上がらない日本。
もう「クーラーの温度設定は28℃に」「こまめに節水する」
といった個人のケチケチ運動でなんとかなる時代ではありません。
この社会のシステムを変えることがすぐさま必要です。
自らの生存に関わる問題になっていますが、
この状況を前にあなたは社会を変えるために、何をしますか?
(げの字)

*IPCC(国連 気候変動に関する政府間パネル)
気候変動に関する科学的な評価を行い、世界の政策決定に指針を提供する国際機関。
現在は2021年から2022年に公表された第6次評価報告書が最新。

<今週のコラムニスト>
ペンネーム:げの字
環境市民の設立3年目からの会員で、かつて事務局スタッフとして広報や環境教育を担当。
気候変動問題には1997年のCOP3の頃から取り組む。
ついにこの夏もエアコンなしで乗り切ったが来年はさて。