平和教育って? | 認定NPO法人 環境市民

平和教育って?

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

世界各地に「平和ミュージアム」と名のつく施設は多くあります。
それらの施設では、単に過去の悲劇を伝えるだけでなく、「平和」とはどんな世界なのか、どうやって自らで平和をつくっていくのかを考える機会を与えてくれています。
特に注目すべきは、戦争の「被害」だけでなく「加害」の歴史にも深く触れた展示を行う施設が増えている点です。

広島平和記念資料館や沖縄県平和祈念資料館は、
日本の戦争責任や加害の側面も展示しています。
また、ドイツのアウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館やユダヤ博物館などは、
加害者の視点から歴史を問い直し、深い反省と教訓を伝えています。
京都では、立命館大学国際平和ミュージアムが、
日本の「十五年戦争」*における加害と被害の
実態にも触れる展示を行っています。

このような展示は、決して自虐的なのではなく、
自国や自らの集団が過去に加害者であったという事実と歴史に向き合い、
「なぜ戦争が起きたのか」
「自分たちはどうすれば平和を築けるのか」
という問いを深く掘り下げ、自ら考え、対話することにつながります。
そして、二度と同じ過ちを繰り返さないという強い決意を持ち、
「平和を築くのは自分自身」という
自覚と責任が根付くことにつながると思います。

複雑な歴史的背景や、当事者の痛みを知り、
「加害と被害」両面の歴史に向き合うことこそが、
今求められる平和教育にもっとも重要な視点ではないかと感じています。
(イバラノカンザシ)

*「十五年戦争」とは
思想家の鶴見俊輔によって1956年に提唱される。
1931年(昭和6年)の満州事変から1945年(昭和20年)の
太平洋戦争終結までの15年間(実質13年11ヶ月)にわたる日本の対外戦争を指す総称。
満州事変、日中戦争、太平洋戦争(大東亜戦争)が含まれる。
これらの戦争を個別の出来事として捉えるのではなく、
相互に関連する連続した戦争として認識しようとする視点で、
特に、中国や東南アジアなど、日本が侵略した地域への影響を重視する立場から、
戦争を全体として捉えるために用いられている。

参照(立命館大学平和ミュージアム テーマ展示「15年戦争の加害と被害」)

<今週のコラムニスト>
ペンネーム:イバラノカンザシ

ドリトル先生に憧れ、海の中の生きものといつか話ができることを夢見て世界の海に潜り続けています。
最近、海の中にいると一瞬エラ呼吸できそうな気分になります。