鉄道は地域に元気を運ぶ | 認定NPO法人 環境市民

鉄道は地域に元気を運ぶ

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10月14日(土)に開催された「近江鉄道グループにぎわいづくりDAYガチャフェス2023」に行ってきました。
近江鉄道の愛称「ガチャコン」にフェスティバルを組み合わせたお祭りは、沿線の地域がみんなで盛り上げる一大イベントでした。

近江鉄道線は琵琶湖の東側、新幹線駅のある米原から貴生川までを結び、多賀大社や近江八幡に連なる支線を合わせると、沿線は約60kmとなる私鉄の路線です。
今年で開業125周年の歴史ある鉄道ですが、
モータリゼーションと人口減少によって乗客数がピーク時の三分の一に落ち込んでいます。
赤字経営が続く中、県と沿線の5市5町が話し合い、
2024年から近江鉄道線は公設民営の上下分離方式になることが決まりました。

とはいえ、何もせずに放置していたら、地元の鉄道への関心は薄れ、
人口が減る中で鉄道として先細っていくことは必定です。
そこで昨年、近江鉄道が仕掛けたのは「無料デイ」。
秋の一日を完全に開放して開催されたその日は、全国から3万8千人が集まり、
満員電車が走って沿線地域に人があふれる事態となりました。
これには鉄道会社も地域もびっくり。
鉄道には地域をにぎわわせる力があるということが目に見えてわかる結果となりました。

今年行われたのは「一日100円で乗り放題」のガチャフェスです。
手探りだった昨年は、多すぎる乗客に臨時で増発に増発を重ねての運行となっていましたが、
今年は最初から最大限に組んだダイヤで電車は走りました。
乗客数は約2万人。昨年のように駅で積み残しが出るようなこともなく、
一日中ほどよく人が乗っている状態となっていました。
昨年は乗り放題の日にあわせ沿線地域で19団体がイベントを開催していたのが、
今年は共催団体が倍以上に増え沿線全域で49団体が共に盛り上げました。

この日、交通まちづくりに取り組む仲間と近江鉄道に乗り、
手分けして各地のイベントを訪れました。
どこもお祭りの雰囲気に包まれ楽しむことができました。
また、電車内で初めて会った人と会話をしたり、
走っている電車に向かって手を振る人に振り返したり、
この日のため設置されたと見られるユーモラスなかかしに笑ったり
コミュニケーションも楽しめました。

私は滋賀で暮らして十年以上、サイクルツーリズムなど
地域活性化の取り組みをする中で日々感じているのは、滋賀の人は自分の地元が大好きで、
その良さを多くの人に知ってもらいたいという気持ちや、
来客をおもてなししたいという心意気が強いということ。
そんな滋賀の人に、沿線全体で訪問客をもてなすガチャフェスはぴったりの活動だと思いました。
そして鉄道は地域に笑顔や元気を運ぶことのできる乗り物だということを実感することができ、
いずこも経営が苦しいローカル線にはまだまだ可能性があるとも感じることができました。

ローカル鉄道はだめだなんてあきらめるのは早い。
これからも注目し、応援していきたいと思います。
(げの字)

(参考)
外部サイト:近江鉄道グループにぎわいづくりDAYガチャフェス2023

<今週のコラムニスト>
ペンネーム:げの字

環境市民の設立3年目からの会員で、かつて事務局スタッフとして広報や環境教育を担当。
現在は滋賀県内で自転車通勤やエコ交通の推進のため、日々スポーツバイクと公共交通で駆け回っている。