さよならの後に残されたもの | 認定NPO法人 環境市民

さよならの後に残されたもの

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

先月10月30日から、水銀に関する水俣条約第5回締約国会議がジュネーブでスタートしました(11月3日に終了)。

ここで廃止が決定したのが、蛍光灯です。
2027年までには全ての蛍光灯を廃止することが決まりました。

こう聞いて、みなさんはどう思われましたか?

「え? まだ終わってなかったの?」
「そういえば、お店で販売されているのを見た」
といったところでしょうか。

国際的にここ3年ほど議論されてきたのですが、
代替手段としてLEDがあるにも関わらず、
各国の主張が一致せず、使われ続けてきました。

水俣条約はコンセンサス、つまり一国でも反対があると決定されません。
前回の会議で反対を示した国の一つはなんと日本でした。
水俣病を経験した国が反対???

海外では、蛍光灯の安定器に直接取り付けられる
「後付けLED」が販売されているのですが、
日本ではそうした商品が諸事情により発展せず、
LEDに取り替えるためには工事をするという手段しかなく、
早期廃止に賛同できないという事情でした。
つまるところ、日本の政策の失敗に他ならないでしょう。

蛍光灯に含まれる水銀は微量だから問題ない。
日本は適正処理しているから関係ないといった意見もありますが、
微量であっても水銀は有毒な物質には変わりなく、
適正処理システムを持たない途上国での影響を考えると、早期に廃止することが一番です。

蛍光灯廃止の問題はひとまず決着がつきましたが、
解決すべき環境・社会問題は山のようにあります。

問題の根本を捉え、予防原則に基づき、一国だけではなく世界全体を考え、
政策を整え、国際社会をリードする。

いつになったらこの国は、
こんな当たり前のことがちゃんとできるようになるのでしょうか。
大きな宿題にこれからも向き合ってきたいと思います。(ま)

水銀に関する水俣条約第5回締約国会議で蛍光灯の早期廃止の決定を求める署名キャンペーンに環境市民も賛同しました。
キャンペーンについてはこちら

これまでの動向について詳しくはこちら

<今週のコラムニスト>
ペンネーム:ま

地球のサステナビリティと共に、自身の体力のサステナビリティが気になる今日この頃。
好きな食べ物は塩豆大福。