グリーンじゃない! 政府のGX(グリーントランスフォーメーション) | 認定NPO法人 環境市民

グリーンじゃない! 政府のGX(グリーントランスフォーメーション)

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

1月30日になんの前触れもなく止まってしまった原発、
点検中だったと報道されていますが、
こんなふうにトラブルの原因がすぐに解明できない原子力発電は決して安定した電源ではないと私は考えます。
政府の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」の方針には老朽原発の再稼働や、政府がいうところの
次世代革新炉の開発・建設までが明記されていて本当に驚きました。
東電福島原発事故の教訓から原発の寿命を与野党合意で40年とし、
原発に依存しない社会をつくっていこうとした歩みを、
たった12年でなかったことにしてしまうというのでしょうか。
東電福島原発事故はまだ収束していません。
政府は、脱炭素社会に向けた取り組みの一つとして、
原発の新規建設を方針に入れました。
しかし、原発の立地先の決定、建設計画を立て工事に着工、
そして完成という流れにかかる時間は最速でも10年以上です。
気候変動問題は逼迫しています。
そんな時間はありません。
そして原発を動かせば使用済み核燃料や放射性廃棄物はどんどん発生します。
まだ最終処分についても決まっていない状態で、
原発の建設に1兆、2兆という膨大な費用をかけることになるのです。

また、「首都直下地震」や「南海トラフ地震」といった
大規模地震の発生予想は30年以内に約70%と言われています。
本当に安全と言い切れるのでしょうか。
原発が老朽化すると当然ですがリスクは高まります。
老朽原発の再稼働には、新基準のもと、
事故時に機能する電源や冷却設備を備えることが必要となっていますが、
古くなったすべての部品を交換することはできないのです。
重要な原子炉も交換することはできません。

本当に安価で安定したエネルギーとなるものは何なのか、
もっと日本国中での議論が沸き起こっていくことが必要です。
経産省が「GX実現に向けた基本方針」についての
全国説明・意見交換会を行なっている最中で、
3月1日の四国地方での開催まで、中国、九州、沖縄地方でも開催されます。
国民の声をきちんと聞くように意見しましょう。
「GX実現に向けた基本方針」についての全国説明・意見交換会情報
(イバラノカンザシ)

*GX(グリーントランスフォーメーション)
経済産業省は、経済成長と環境保護を両立させ、
「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする」という、
カーボンニュートラルに移行するために必要な
経済社会システム全体の変革を意味する成長戦略だと説明しているが、
環境NGOなどからはグリーンではないと批判が噴出している。

<今週のコラムニスト>
ペンネーム:イバラノカンザシ

ドリトル先生に憧れ、海の中の生きものといつか話ができることを夢見て世界の海に潜り続けています。
最近、海の中にいると一瞬エラ呼吸できそうな気分になります。