21世紀、地球を、地域を、生活を、持続可能な豊かさに
環境マイスター研修認定制度推進事業
環境を大切にした製品をすすめる販売のプロ 「環境マイスター」
環境マイスターは、温暖化防止、省エネルギー、グリーン購入(グリーンコンシューマー※1)等の知識、情報を提供し、消費者がより環境負荷が少ない製品を適切に選ぶことができるように促す店頭販売員を示します。2005年に環境市民が企画開発し山形県からスタートしました※2。
環境マイスターが増えることで、環境を大切にした商品選択をする購入者が増え、二酸化炭素排出量など環境負荷を下げることができます。また、環境配慮型製品は販売時の価格が高いことが多く、しかも顧客の店舗への信頼度も高めるため事業者にもメリットがあります。また、消費者にとっても使用時の電気代や燃料代の節約につながるため、まさに「三方よし」の事業です。
環境マイスターになった家電販売員の方からは「環境を大切にした製品を、自信を持ってお客さんにすすめられてうれしい」といった声もあります。環境マイスターに認定をされるためには、2日間の研修を受け、終了後の試験に通る必要があります。
これまでに、自動車販売事業者では秋田県、山形県、東京都、神奈川県、滋賀県、長崎県、熊本県で、家電販売事業者では山形県、和歌山県、大分県、長崎県で、サッシ・ガラス事業者を対象に山形県で住宅建設事業者では長崎県で、各々自治体、事業者団体、県地球温暖化防止活動推進センター、グリーン購入ネットワーク、地域の環境NPO等の協働、協力で実施しています。また全国板硝子商工協同組合連合会は、2010年に全国6ブロックで実施しました。
今後も、他府県への拡大や消費者への環境マイスター情報の提供などにも取り組んでいきます。関心のある方は環境市民までお問い合わせください。
※1 買い物の際の商品・サービスの選択を変えることにより、ライフスタイルや社会をエコロジカルに変える活動
※2 2005年度 内閣府先駆的実践活動推進事業として実施
2007年度 環境省主体間連携事業として実施
実績
本制度を開始した2005年度以降、2017年6月現在までに、約4700人の認定者が誕生しています。
環境マイスター研修認定の効果(自動車販売店の場合)
環境マイスターの声
<滋賀トヨペット株式会社水口店 奥村 祥平さん>滋賀県・2015年度認定
販売店ならどこでも自動車の性能についての話しはできるし、どこに行っても同じ話しを聞くこともできます。私は、販売以 外の環境の話などをしています。
環境情報を伝えることで、「あの店のセールスが環境のことも言っていたから」と、購入の際の決め手のひとつになっているといえます。環境を意識されているお客様は増えていると感じています。もっと情報を得ることで、さらにお客様と環境についての会話ができたり、情報を伝えたりできると思います。
環境についての新たな情報を知識として得られるなら、仕事としてもステップアップできると思うし、人間としても成長できるとも思います。大事なことだと考えています。
また、お子さんとお母さんが行きたいと思うお店づくりが大切 だと思います。私にも小さな子どもがいるので、添加物、化学物質などについて気になります。おもちゃも安全な木のおもちゃはいいと思っています。そんなこともお店作りに活かせればと 思います。
<株式会社秋田スズキ 常務取締役 石黒 佐太朗さん>秋田県・2014年度認定
「環境マイスター」と出会ったのは、秋田県自動車販売店協会主催の「環境マイスター研修会」に参加したことがきっかけです。
会の冒頭、地球上で起こっている様々な変化、予想される深刻な未来について知りました。しかし、環境を守ること、地球温暖化に歯止めをかけることは何も難しいことではなく、自動車業界においても、すぐにでもできることが多くあることが分かりました。エコカー購入で得られる環境面のメリットを見える化し、CO2の排出量の少ないエコカーを推奨すること。車両本体だけでなく、タイヤ、油脂類も環境配慮の商品に替える、適切な点検整備などを受けるだけでも環境配慮につながっていることなどを訴求すること。店舗づくりにも環境配慮の視点を加えること。これらを「環境マイスター」たちが適切にアドバイス、実施していくことで地球環境保全への取り組みを打ち出した「環境マイスターがいるお店」としてお役に立てるのではないかと考えています。
<むろいでんき 室井 洋史さん>大分県日田市・2007年度認定
●日頃から環境には気を配る
研修を受ける前から環境問題には関心はありました。缶ビールは買わないし、車よりは自転車・徒歩を心がけています。店頭の展示でもテレビよりもラジオをつけ、生活を見直そうと言うメッセージを伝えています。
●しっかり説明すればお客さんも納得してくれる
お客さんは環境の大切さは理解してくれるけど、実際に購入するところまで関心の高い方ばかりではないのが難しいです。お店では主に電球型蛍光灯を勧めています。こちらが勧めればわりとすんなり選んでくれるようです。あるお店からは16個の白熱電球を電球型蛍光灯に替えたら、電気代が安くなったという声をいただきました。ただ、2〜3分しないと完全に明るくならないとか、本当の色ではないのでは、などの声もまだ聞かれます。
夏場は、どうしても暑さをすぐになんとかしたいという一心で安価なエアコンが売れてしまいます。でも冬になってエアコンで暖房しようとしたときに予想外に電気代が高くついて驚かれます。
●電気屋さんがいうのもなんだけど……メーカーへのメッセージ
最近の家電製品は多機能化しているが、実際はあまり使いこなせないし壊れやすくなっています。基本的に冷蔵庫は冷えてくれればいいはずでしょ。エアコンもクリーニング機能つきはかえって壊れやすい。自分では掃除しにくい仕組みになっています。
切れた蛍光灯も、メーカーが責任を持って回収箱をつくってくれれば回収も進むし、お客さんを呼び込むきっかけにもなるでしょう。
●環境マイスターとして……提案します!
国や自治体には自然エネルギー設置への補助金を出してほしいと思います。発電した電気を買い取る制度も必要。これからは消費者が自然エネルギーや環境性能の高い製品を自然に選べるような社会の仕組みを創っていく必要があると思います。
<トヨタカローラ山形株式会社 本社・営業企画室 田中 賢治さん>山形県山形市 2005年度認定
●研修を受けて意識高まる
研修を受ける前はニュースや新聞の記事を見るという程度の関心でした。それが環境マイスターの研修でいろんな写真や映像を見て「ここまで温暖化は進行しているんだ」と正直怖くなりました。環境への関心も高まり、その後「ECO検定」(東京商工会議所主催)も受けたりして勉強しました。
●子どもといっしょに自由研究
私は現在、エコドライブ教室などの普及啓発イベントの企画をしています。そのネタ探しと子どもの自由研究を兼ねて運転の仕方による燃費の差を測定したり、自分自身の関心から住んでいる地域の散乱ごみの調査をしたりしました。
エコドライブ教室では、参加者からいろいろな質問が飛んできます。最近はガソリン代が高騰していることもあり、それをネタにエコドライブの必要性を説明することが多いですね。環境問題全般について聞かれた場合に、その場で自信を持ってお答えできるように情報収集もしています。もちろん、できるだけ日頃マイカーの運転もエコドライブに配慮していますよ。
●環境マイスターとして……提案します!
環境マイスターといっても、会社という組織の中でなかなか自由に動けないところもあります。現在は環境への取り組みについても本部主導型で、各店舗での具体的な取り組みはまだ実施できていないのが実情です。今後はもっと店舗ごとに独自の環境の取り組みがあってもいいのではと思います。また、店舗が立地する地域への貢献をもっと積極的にやっていくべきだと思います。
最近では日本政府も二酸化炭素削減にやっきになってきました。でもハイブリッド車への購入補助金は削減されています。もっと補助を出して環境性能の高い自動車の普及に本気を出してほしいと思います。
<(有)あかざい電化 赤在 依美(あかざい えみ)さん>和歌山県海南市 2006年度認定
●中学生に省エネ型の暮らし方を伝授
環境マイスター研修を受ける前から、省エネ型製品の普及に取り組んでいました。ただ研修を受けて、さらに深く伝えられるようになったと思います。
先日、海南第三中学校の生徒3人が職場体験ということで、1週間うちの店に来ました。その最終日、お得意さんと一般の方を対象に、お店を会場にして「省エネセミナー」を開催し、3人には1週間で学んだことを講師として発表してもらいました。受講者からは「中学生の生徒さんたちもよく勉強したんですねぇ。感心しました!」などとても評価していただきました。
●「売っておしまいじゃない!」これがうちのウリです
このセミナーは以前から継続的に開催しているもので、省エネ型製品を紹介したり、お客さんから質問を受けたりしています。また、商品を納めたお家にはその後もアンケートをとり、買い替え前と後との消費電力量の違いを調査してフォローしたり、そのデータをセミナーでも活用させてもらっています。データの集計はとても手間がかかりますが、がんばって続けています。
●お客さんの変化も実感
最近、環境関連報道がとても頻繁にされるようになっています。その追い風もあって、お客さんの意識も高まっています。以前であれば価格面だけを重視する方が多かったのですが、今では価格よりもエコを優先する方も増えてきました。これは大きな変化だと感じています。
●時間ある限り勉強、勉強……
環境マイスターとしては、特に大きな夢があるというわけではありません。多くの方々に教わりながら、みなさんのニーズに応えていくことで喜んでもらえれば十分です。ただ環境は情報収集がたいへん。できるだけセミナーや講演会などにも顔を出し、メルマガ、ウェブサイト、雑誌などで勉強しています。
●環境マイスターとして……提案します!
メーカーはよくがんばっていると思います。ただお客さんに環境問題や省エネについてわかりやすく伝えるツールをもっとつくってほしいと思います。また、ユーザーは老若男女多様です。それぞれのニーズに合わせて機能をカスタマイズできるような製品を望みたいですね。
国や自治体には、ぜひ省エネ製品への助成などの仕組みをつくってくれたら、と期待しています。