2 グリーンコンシューマーの買い物 10の原則 | 認定NPO法人 環境市民

2 グリーンコンシューマーの買い物 10の原則

「環境に配慮した選択」とはどのようなものかを少し具体的に紹介します。
(グリーンコンシューマー全国ネットワーク作成 より)

1、必要なものを必要なだけ買う

地球上の2割である先進国の人たちが、8割の資源を使っているのが世界の現状です。地球上で人類が生き続けるには、先進国の過剰な消費を押さえていく必要があります。本当に必要かどうかを考えてから買いましょう。

2 使い捨て商品ではなく、長く使えるものを選ぶ

商品は、いつかすべてごみになります。しかし最初から使い捨てられることを前提に作られたものを買うことは、資源枯渇と環境悪化を招きます。ごみになるまでの時間が長いもの、そして修理しながら使えるものを選びましょう。

3 容器や包装はないものを優先し、次に最小限のもの、容器は再使用できるものを選ぶ

過剰包装はいりません。量り売り、はだか売りのものが一番です。どうしても容器の必要なビールやジュースは、リターナブルびん入りのものを優先的に選びましょう。

4 作るとき、買うとき、捨てるときに、資源とエネルギー消費の少ないものを選ぶ

商品は、資源とエネルギーを使って作られ、使われ、そしてごみになります。そのすべての過程で資源とエネルギーをムダにしない商品を選びましょう。

5 化学物質による環境汚染と健康への影響の少ないものを選ぶ

ダイオキシン、環境ホルモンだけでなく、農薬、食品添加物、薬剤、排気ガスなど、商品が作られ、使われ、ごみになる過程で多くの有害な化学物質が使われたり発生したりしています。可能なかぎり少ないものを選びましょう。

6 自然と生物多様性をそこなわないものを選ぶ

貴重な自然を破壊し、生物に多大な影響を与えている商品があります。豊かな自然と生物の多様性こそ人間の生存の基礎です。そのような消費を選ばないようにしましょう。

7 近くで生産・製造されたものを選ぶ

商品の輸送にはエネルギーが必要です。国内産のものや地場のものは輸送エネルギーが少なくてすみます。しかも野菜、魚は地場物なら新鮮で栄養も豊富です。地域の産業を育て、顔の見える関係をつくることにもなります。

8 作る人に公正な分配が保証されるものを選ぶ

発展途上国の人々の労働に対してそれに見合う対価が支払われていないことが多くあります。またそのような生産現場の多くは環境破壊的でもあります。フェアトレード※で途上国の人々の生活支援と経済的自立のための活動が広がっています。

※公平な貿易。生産現場の環境に負荷をかけず、人権、労働条件を守り、対等な対価を支払う貿易を意味する。

9 リサイクルされたもの、リサイクルシステムのあるものを選ぶ

たとえば再生紙製品を買わないと、いくら紙をリサイクルにまわしても需要がないので、使われなくなってしまいます。リサイクルする社会の仕組みがあり、きちんとリサイクルされている商品を選びましょう。ただし、リサイクルは3番目の手段であることを忘れずに。

10 環境問題に熱心に取り組み、環境情報を公開しているメーカーや店を選ぶ

グリーンコンシューマーは環境を大切にしようとしている企業を応援します。そして企業の情報がより公開されることにより、消費者の選択が用意になります。

現状ではこの10原則をすべて当てはめて買い物をすることは難しいかもしれません。しかし、だからといって何もしないのではなく、ひとつでも実行していくことが大切です。その積み重ねがライフスタイルを変える大きな効果を生み、社会を変えていく原動力になります。

LOHASとの違い

ここまで説明すると、近年話題になったLOHAS(Lifestyle of Healthy and Sustainability)という言葉とグリーンコンシューマーを混同される方もいるかもしれません。LOHASは、「健康と環境を志向するライフスタイル」と意訳されています。この言葉は、米国の社会学者ポール・レイ氏と心理学者のシェリー・アンダーソン氏が、全米の約15万人を対象に実施した価値観調査の結果をマーケティングの視点から分析すると、そうしたライフスタイルを志向する層が存在する、と報告したことがもとになっています。

確かに、環境に配慮した商品を選ぶ、という点ではグリーンコンシューマーと似ている部分もあるのですが、内容をみると、あくまで「商品を買う」ことが前提となっています。ロハスな商品としてあげられているものの中には、巨大なマンションやミネラルウォーターの販売など、どこがエコなのか考えてしまうようなものが並んでいます。グリーンコンシューマーの第一の原則は「必要性の考慮」であり、主体的に持続可能な社会システムをつくることを目的としています。エコな商品サービスの選択であっても結果として、ぜいたくな消費を促すロハスとは異なります。

また、ロハスは、今までのエコ活動は「我慢をしいるもの」と説明していますが、グリーンコンシューマーは決して、我慢ではなく、「少ない消費」で「豊かさ」を感じるライフスタイルを提案しています。こうした、グリーンコンシューマーが本来伝えていることを間違って伝えている点も気になります。

さらに、グリーンコンシューマーは、誰もがすぐにできる活動ですが、ロハスは、比較的高収入層を対象としています。しかし、ロハスが高いお金を払うことができる一部の人だけが、健康や環境にいい暮らしをすることを促すとすると、誰もが安心して暮らせる持続可能な社会とはかけ離れてしまいます。

ロハスと対比するならば、グリーンコンシューマーは、より少ない消費で、我慢をすることなく持続可能で豊かな社会をつくることを目的とし、誰もが参加できるものであることを覚えておいてください。

本当の豊かさ…

もし、世界中の人が日本人と同じライフスタイルを実行したとしたら、地球は2.5個必要ともいわれるように、私たちの現在の「豊かさ」は、大量消費、大量廃棄の上になりたっています。しかし、このような物質的な豊かさが長続きしないことは誰もが分かっています。

この問題をなんとか技術で解決しようという考えもあります。技術は確かに、環境への負荷を下げるために大きな役割を果たすことができます。しかし、地球の資源をむさぼる社会経済のあり方を改善できても解決はできません。CO2を地中に埋めたり、原子力で温暖化防止をしたりしようなどという考え方はまさに対処療法的で問題の根本を解決しない、という最たる例でしょう。

私たちは、今「豊かさ」の基準を考え直すときにきています。ものやお金で語られる豊かさではなく、時間や人とのつながりといった豊かさに転換していく必要があります。グリーンコンシューマーは、そうした「豊かさ」の価値観を転換していくための考えであり、行動提案でもあります。

※WWFの「Living Planet Report 2006(邦訳:生きている地球レポート2006)」