震災15年、フクシマは終わっていない | 認定NPO法人 環境市民

震災15年、フクシマは終わっていない

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

2011年3月11日。
地震と津波だけでもこの世のものとは思えない恐怖を味わったというのに、直後に起きた東京電力福島第一原発の過酷事故は、日本のみならず世界を震撼させました。
事故後、日本中のすべての原発は停止し、脱原発の世論も高まりました。
しかし2015年、鹿児島の川内原発が再稼働し、その後も「安全基準を満たした」とされる原発の再稼働が進んでいきます。
さらに2022年のロシアによるウクライナ侵攻をきっかけとしたエネルギー価格の高騰もあり、
原発回帰の流れは強まりました。
昨年に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、
これまで掲げられてきた「原発依存度を可能な限り低減」という文言が削除され、
「原子力を最大限活用する」との方針が示されています。

15年前、私たちは何を学んだはずだったのでしょうか。
「日本の原発は安全だ」とずっと言われ続けていたのは嘘でした。
その後もデータ不正やトラブル隠しが相次ぎ、信頼は地に落ちました。
都会が電力の恩恵を受ける一方で、
過疎に悩む地方が原発依存型の経済構造の中で
リスクを引き受け続けるという不均衡も残されたままです。
この震災では約3800人が「関連死」と認定され、そのうち約2300人が福島県です。
避難生活の長期化が大きな要因とされています。
高齢者の強制避難、孤立、自殺。
避難そのものが健康リスクとなる現実も明らかになりました。
さらに言えば、事故時に住民が安全で確実に避難できる体制も整っているとは言えません。

政府はエネルギー安全保障を原発推進の理由に挙げますが、
核燃料サイクルが事実上破綻している以上、
燃料は海外に依存せざるを得ず、筋が通っていません。
戦争が起きれば原発は重大な攻撃対象にもなり得ます。
さらに再生可能エネルギーのコストは下がり続けており、
原発の経済合理性は不確実になりました。
使用済み核燃料の処分方法も決まらないまま核のごみは増え続けています。

フクシマの事故は、終わった出来事ではありません。
今も続く原発依存の中で、私たちに問いを投げかけています。
震災の教訓を忘れたかのように政策が進む今、
私たちは慣れたりあきらめたりするのではなく、
粘り強く声を上げ続ける必要があるのではないでしょうか。(げの字)

<参考>
福島の関連死2335人は氷山の一角 研究で見えた原発避難の混乱
(朝日新聞デジタル・有料記事)

<今週のコラムニスト>
ペンネーム:げの字
環境市民の設立3年目からの会員で、かつて事務局スタッフとして広報や環境教育を担当。
できるだけエネルギー消費の少ない生活を志し、日々実験、実践中。