青切符制度が導入、自転車の走り方はどうなる? | 認定NPO法人 環境市民

青切符制度が導入、自転車の走り方はどうなる?

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

今回の自転車視察体験ツアーの目的は、自転車を楽しみ、自転車を好きになってもらうことに加え、このまちでの自転車の使いやすさを考えること。
コースの前半は川沿いの爽快なサイクリングロードを走り、後半は交通量の多い一般道を走りました。
車道と「自転車歩道通行可」の標識がない歩道しかない道では、自転車が走っていいのは車道だけ。
いつもは歩道を走ってたという参加者も、ルールに従って車道を走りました。

途中で、歩道を二つに区切った片方のような外観の自転車道らしきものが現れました。
道路交通法上の自転車道とは、縁石や柵等の工作物で自転車用に区画された車道の部分を言います。
では、歩道の部分にしか見えないし柵は所々にしかないここは自転車道か否か?
難しいとぶつぶつ言いながらみんなで走りました。
走り終えて感想を聞くと、サイクリングは楽しかったけれど、道はクルマ優先のように思える、
自転車がどこを走っていいのかわかりにくい、正しい走り方のルールがわからない、
車道を走るとクルマがこわい、青切符制度が始まったらどうしたらいいんだろう
という意見が出てきました。

2026年4月1日から自転車の交通違反に対して反則金を科す青切符制度が始まります。
走行中のスマホ使用や信号無視、車道の右側通行、一時停止違反、
無灯火、二人乗り、並進などが反則金の対象になります。
対象となる違反行為に「歩道通行」があり、
反則金が課されることから、困惑の声が多く上がりました。
自転車は車道左側通行が原則であり、
歩道は「自転車歩道通行可」の標識のあるところのみ
自転車は徐行で通ってもよいことになっています。
それ以外の歩道を通ることは違反となります(13歳以下と70歳以上を除く)。
標識があっても速度を出して走るのは違反です。
しかし、日本では車道上に自転車が安全に走れる環境が整備されていない場所がほとんどです。
それなのに歩道通行を取り締まるとは何事かと反対意見がたくさん上がったため、
警察庁も歩道通行の取り締まりは、歩行者を蹴散らして走行したり、
警察の指示に従わなかったりというような悪質な場合に限るとしています。

自転車の事故件数が増えていることから導入される青切符制度ですが、
このように運用はいささか中途半端です。
一番の弱者である歩行者を守るためにも、クルマに対して自転車の権利を主張するためにも、
自転車の歩道通行は極力減らすことが望ましいものの、
車道上の安全が確保されていないことは事実です。
自転車に乗る者としては、ルールを遵守して走り、
歩行者に迷惑をかけることをしないとともに、
道路管理者に対して自転車の走行空間を整備するように粘り強く働きかけ、
歩行者と自らの安全の確保を図っていきたいものです。
(げの字)

<参考> 外部サイト
警視庁 道路交通法の改正について(青切符についても含む)

<今週のコラムニスト>
ペンネーム:げの字

環境市民の設立3年目からの会員で、かつて事務局スタッフとして広報や環境教育を担当。
現在は滋賀県内で自転車通勤やエコ交通の推進のため、日々スポーツバイクと公共交通で駆け回っている。