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移動はそのときが来てから考えても遅い
カテゴリ: 電子かわら版コラム | 更新日:
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11月に入院した親が12月30日に退院しました。
治療すべき症状はなくなったとはいえ、入院中に体力が落ちて、公共交通での移動はとてもできない状況でした。
しかし私たち子どもは車が運転できず、エッセンシャルワーカーの娘婿は大晦日の夕方まで仕事で帰ってきません。
コロナ禍で大打撃を受けたタクシー業界は稼働が大幅に減っているため(さらにインボイスの導入が個人タクシーの廃業に拍車をかけ)、エリア内すべての会社をあたってみても予約することができません。
最終的には親戚に頼んでなんとか迎えにいくことができました。
迎えの段取りに困るから、退院はいつ頃かと何度も病院に尋ねていたのに、
まだわかりませんと言われてばかりで、
結局は通知があったのが退院日の2日前、年末ぎりぎりでした。
誰もがクルマで動けることを前提とした対応に思えます。
実家の周辺は自転車と電車やバスで便利に動ける土地柄なので、
体が元気でいるうちは移動に困ることはありません。
同じような場面で困る人は他にもいるのではと思います。
私が暮らす滋賀県では今、地域交通の再編を図るために
住民との対話を行うワークショップが県内6カ所で行われています。
そこに進行役として参加し、それぞれの土地で皆さんのご意見をお聞きしています。
そこでよく聞かれる意見は
「お年寄りや高校生のために公共交通は必要。でも便利になっても私は乗らない」です。
クルマ社会の滋賀ではクルマが一番便利であるから、
公共交通は選びたくないと多くの人は言うのです。
選ばれない交通機関は必然的に衰退し、
いざ自分が利用しようと思ったときには使えない状況になっているのですが……。
(タクシーも公共交通の一種です)。
実際に自分が困らないと考えないのは人間の性なのでしょう。
誰もが合理的判断をすれば公共交通を選ぶことになるように
社会の構造を公共交通優先に変えないと状況は好転しそうにありません。
政治的な判断も必要でしょうし、それを後押しするための市民の力も必要でしょう。
もともとは気候変動防止の観点から、
何とか一石を投じたいと交通に関する活動を始めて8年目になりますが、
ほんのわずか風向きがよくなってきたような気もします。
このモータリゼーションの世の中を、機を捉えて一気に動かしてみたい。
そろそろ山が動くところを見たいものです。
(げの字)
(参考)
外部サイト:滋賀県 令和6年度第2回滋賀地域交通ワークショップ開催
<今週のコラムニスト>
ペンネーム:げの字
環境市民の設立3年目からの会員で、かつて事務局スタッフとして広報や環境教育を担当。
現在は滋賀県内で自転車通勤やエコ交通の推進のため、日々スポーツバイクと公共交通で駆け回っている。