政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうに | 認定NPO法人 環境市民

政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうに

このコーナーでは、ウェブやメールマガジンの企画運営を行っている「電子かわら版チーム」メンバーのコラムを紹介しています。一緒に企画運営をしたいボランティアも随時募集中です。関心のある方は京都事務局まで。

少し落ち着いてきましたが、近年になく米朝関係が緊迫しています。
北朝鮮が挑発すれば、米国は報復を強く示唆し、互いに脅し合い。臆病者と呼ばれないためにと、さながらチキンレースの様相です。
しかし、なぜ今こんな事態になったのかというと、よくわからない。何か特別な要因があったかと考えても、思い当たらない。
私はまだ生まれてもいなかった時代だけれど、1950年から53年の朝鮮戦争は過去のものではない、平和条約が締結されず、ただ休戦状態にあるだけなのだということを考えざるを得ません。

少し前まで、核兵器は使ったが最後、自国をも破滅に追いやる「使えない武器」ということを各核保有国の指導者は認識していたように思います。今回は、それを両首脳とも本当に理解しているのだろうかと疑問に思えるところが、恐ろしく感じられます。

先月、核兵器禁止条約が国連で採択されました。
「核兵器のない世界」を目指し、核兵器の使用や開発、実験、生産、製造、保有などだけでなく、「使用するとの威嚇」も禁止しており、核抑止力の根幹をも認めない内容です。人類の英知として、どんなにか多くの人が待ち望んだ条約でしょう。
しかし、この画期的な条約に、署名しないと日本は明言し、被爆者をはじめ世界中のたくさんの人々を失望させました。

日本は朝鮮戦争の当事者ではありません。
北朝鮮が意識しているのは米国だけで、最初から日本なんか眼中にはないことは、マスコミを通じて聞こえるコメントだけを見ていても明白です。実際、石油などの資源もない国を攻めたところで何の得もないでしょう。
なのに、日本政府は明確に北朝鮮を敵対視。存在しない危険を妄想でつくりだし、日本に向けてミサイルが発射された場合を想定する文書を学校で配らせるような有様です。
また、小野寺防衛相は、グアムの米軍が北朝鮮に攻撃されたなら、日本が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に当たれば迎撃できるとの認識を示しました。グアムへの攻撃と日本の存立の危機は、普通に考えて関係あるとは思えません。
ミサイルが日本の上空を通過するとしても、それははるか高度の宇宙空間で、日本の領空ですらないのです。
国難を政権浮揚に利用するにしても、悪質ではないでしょうか。

ロシアのラブロフ外相は、今回の事態を憂慮し、「常識が勝ることを望んでいる。軍事衝突が起きないよう我々はあらゆることを行う」と大変まっとうな発言をされました。
武力衝突が起きないようにするのが外交の役割です。衝突を前提に対応を考えるなんて、兵法としても下の下。
平和を絶対の国是として70年以上の実績を積んできた国として、今やるべきことは何なのでしょうか。
「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする*」ための責任は、日本国民一人ひとりが背負っています。
(げの字)

*日本国憲法前文より引用