第1回:グリーンウォッシュはリスク | 認定NPO法人 環境市民

第1回:グリーンウォッシュはリスク

「地球にやさしい」
「環境にいい」
「CO2ゼロ」
「ナチュラルな○○」

私たちは日々、環境性能をPRする宣伝文句を目にします。ところが、パッケージ表示や製品のウェブサイトをみても、何を、どれくらい、環境負荷を減らしているのか、本当に環境に配慮した商品なのかわからない、疑問に思う製品も多いのではないでしょうか。
「グリーンウォッシュ(Greenwash)」とは、あたかも環境に配慮しているかのように見せかけている環境表示のことを意味します。「欠点をかくして体裁をつくろう」「ごまかす」という意味を持つ「ホワイトウォッシュ(whitewash)」という言葉をもじって、欧米の環境団体が使いはじめました。
日本ではほとんど知られていない言葉ですが、国際的には、国際標準化機構によって環境表示のガイドライン(ISO140021)が定められており、これに反するものはグリーンウォッシュとみなされます。また、欧米では、国や広告業界団体等が基準やガイドラインをつくり、的確な環境表示がなされるよう努力しています。グリーンウォッシュに該当すると判断された表示は、自主規制団体などから修正や取り下げを求められたり、国の規制当局(日本の消費者庁に該当)から罰金を課されたりするような例もあります。
グリーンウォッシュが蔓延すれば、環境配慮商品への消費者の信頼が下がり、ひいてはまともな環境配慮製品も売れなくなってしまいます。環境配慮製品が売れなければ、持続可能な社会をつくる上でも必須要素となっているグリーンな経済の実現が難しいという事態に陥ってしまいます。
持続可能な社会を実現するためには、消費者と企業が十分かつ良好なコミュニケーションをはかり、持続可能性の高い商品が的確に選ばれる状況をつくっていかなければいけません。
世界的な環境マーケターであるスコット・ケース氏はグリーンウォッシュについて次のように述べました。
“Greenwash harms future generations”
「グリーンウォッシュは将来世代を害する」と。
あいまいな表現、わかりづらい表現、ましては消費者を誤解させるような表現は地球の未来を危うくする、といっても過言ではないのです。
そもそも、グリーンウォッシュの多くは意図的に騙そうとしたものではなく、企業側が、押さえるべき情報や視点を知らなかったり、宣伝部が性能をアピールしたいために、つい勇み足になってしまったといったことが原因です。でもそんな「うっかり」で、消費者の信頼だけではなく、大切な未来までも危うくしてしまうのはあまりにもリスキーです。
そこでこのコーナーでは、グリーンウォッシュとは何かについてしっかり押さえ、どうすれば消費者と企業が良好なコミュニケーションを築き、信頼獲得につなげられるのか、をお伝えしていきます。
次回は「グリーンウォッシュを防止するための20のポイント」を紹介します。
※月2回ペースで掲載していきます。