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きれいな光とは何ですか
カテゴリ: 電子かわら版コラム | 更新日:
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昼の最も短い季節、田畑でぼやぼや作業をしていると、すぐ
真っ暗になってしまいます。誰もいない街灯もない暗い農道
を自転車で走るのは、そう嫌いではありません。月明かりや
新月の頃には星明かりに薄く照らされた道を、そのほのかな
明かりを楽しみながらゆっくりと帰ります。
アルバイトで中学生の作文を採点していたとき、輝く水面の
美しさを表現するのに、「まるで水の中に無数のLED電球が
沈んでいるようだ」と書いている子がいました。
えーっ、自然の美しさを電気に置き換えるのか、この子に
とって、きれいな光とは人工的な灯りなんだと、ショックを
受けました。
暗い夜道を歩いてきて、煌々と周囲を照らすコンビニを見て
ほっとする。という話もよく聞きます。
昼間の生きものである人間である以上、そういう感覚は私に
もわからないわけではありません。
だけど、古来、日本人が愛してきた闇すら愛でる美意識とは
対極にあるものだと感じてしまいます。
なるほど、きらきらぴかぴかの明かりは誰にでもわかりやす
い美しさでしょう。
しかし、暗闇の中にあるからこそ見えるもの。ありがたく
感じられる薄明かり。そこにたしかに存在している“美”を
感じ取る力。見えないから羽ばたく想像力の翼。
自然と調和して生きてきた日本人の感性を失ってきたことで
環境問題というものが大きくなってきたのだろうと、毎年
クリスマスのイルミネーションを眺めるたびに思うのです。
(げの字)
─ボランティアスタッフが交代でお届けしています─