大飯原発再稼動STOPを!京都府への要望の報告 | 認定NPO法人 環境市民

大飯原発再稼動STOPを!京都府への要望の報告

大飯原発3・4号炉の再稼働を案じる京都府民 有志の小坂 勝弥さんから、山田知事あてに提出した要望書の報告がとどきましたのでお知らせします。要望書に賛同してくださったみなさん、ありがとうございました。(要望書のよびかけ詳細はこちら)

報告

3月26日11時より府庁にて山田知事あての要望書を提出しました。参加したのは行動を呼びかけたアイリーンさん、藤井さん以下8名。要望書に名前を連ねてくださった方は、たった1日ほどの短い呼びかけにもかかわらず165名に上りました。

その内訳は以下の通りです。
舞鶴市(2名)、宮津市(5名)、京丹後市(3
名)、綾部市(10名)、京丹波町(4名)、南丹市
(3名)、亀岡市(8名)、京都市(96名)、長岡京
市(2名)、宇治市(6名)、八幡市(2名)、城陽
市(3名)、井手町(1名)、京田辺市(18名)、精
華町(1名)、木津川市(1名)

再稼働に向けた国の拙速な動きに対する府民の不安を伝える、
という目的はみなさんのおかげで達せられたと思います。

メディアの関心も高く、複数の新聞、テレビが取材してくれました。対応してくださったのは、危機管理・防災課の前川課長でした。

事故の検証も、防災計画の策定も、安全協定の締結も何も済んでいない中での「政治判断」などもってのほか。府として再稼働には決して同意しないでほしい、という私たちの要望に対して、

「府としては、府民の安全・安心を第一に対応してきたし、
その姿勢に変わりはない。基本的にみなさんと同じ方向を向いている」とのお答えをいただきました。ろくに事後説明ができないような、腰砕けの対応にはならないよう、釘を刺せたと思います。

ただ、近日中に予定されている保安院の知事への説明に際して、府民も参加(傍聴など)させてほしいとの要求には、それは考えていないときっぱり断られました。

提出した要望書(最終確定版)は末尾の通りです。

なお、保安院の来訪(29日か?)に際しては、府を応援しつつ、国への抗議の意思を示すため、庁舎外で横断幕を広げるなどして待ち構えようと計画しています。ご都合のつく方は、ご参加ご協力のほどお願いします。(文責:小坂 勝弥)

提出した要望書

要望書

無責任な「政治判断」で大飯原発3・4号機を再稼働しないよう、国に強く求めてください

京都府知事 山田 啓二 様

大飯原発3・4号機の再稼動をめぐり、再稼動の条件の一
つとされるストレステスト一次評価について、原子力安全委員会は、さる3月23日、これを「妥当」とする確認書を出しました。
しかし委員会が開かれたのはたったの5分であり、実質的な審議はなに一つなされませんでした。政府はこれをもって、大飯3・4号機の再稼働を「安全」とし、野田首相など4閣僚の判断を経て地元説明を行うと報じられています。
下記のように根本的な問題が置き去りにされたまま、国民の声を無視して行われたこの手続きに、私たち府民は、強い憤りと不信とを抱いております。

1.一次評価だけで安全は確認できない
大飯原発再稼動の安全上の判断に際しては、ストレステスト一次評価が全く意味を持たないことは班目委員長が繰り返し述べているとおりです。しかも関電は、昨年末が期限だった二次評価を未だに出していません。

2.活断層の連動による地震発生を考慮に入れていない
保安院の地震と津波に関する意見聴取会では、委員全員から、大飯原発周辺の3本の活断層について、連動評価を行うべきとの厳しい意見が出されています。しかし関西電力は、大飯原発の耐震安全評価において、活断層の3連動を考慮に入れていません。

3.地震の際に制御棒の挿入が間に合わない可能性がある
保安院で平成22年に了承された耐震安全性評価中間報告によれば、制御棒の挿入評価値は基準地震動Ssで2.16秒であり、
評価基準値(許容値)である2.2秒をぎりぎり下回る数値です。
活断層の3連動を前提にすれば、制御棒の挿入評価値が評価基準値(許容値)を超えることは明らかです。しかし、関電は従来の2.16秒を1.88秒に引き下げ、それでもって余裕が十分あるかのように見せようとしています。福島事故後にこのようなことがされているのです。にもかかわらず、原子力安全委員会でこの議論はまったくなされませんでした。
なお、保安院は、3月13日、安全委員会に提出した資料に、前述の中間報告をはるかに下回る「1.88秒」という数値を唐突に掲載していますが、その根拠を示していません。

4.津波の想定がきわめて不十分
大飯で用いられている津波の想定は11.4メートルで、福島事故
の14メートルよりも低い想定で疑問があります。関電などが行った津波跡調査は、地震・津波に関する意見聴取会でも不十分だとの結論となり、再度行われる詳細調査結果は11月までかかります。しかもこれらの調査は若狭湾の東側に限定され、京都府が求める丹後半島の調査は行われていません。

5.福島原発事故の原因究明を待つべき
福島原発事故は収束せず、原因究明はこれからです。このような状態で、福島原発事故を繰り返さないなどと言えるわけがありません。

6.深刻な被害が想定される京都府が地元と認められていない
しかも、京都府北部を中心に、「緊急防護措置区域」(UPZ)の半径30キロ圏内には、福井県の対象地域住民よりも多くの京都府民が居住しているにもかかわらず、政府や関西電力は京都府を地元と認めず、関西電力は京都府の要望している地元並みの安全協定をいまだ締結していません。
先日、京都府は全国で初めて、SPEEDIによる高浜原発で過酷事故が起きた場合の放射性物質拡散予測を公表しましたが、放射性ヨウ素の拡散で綾部市、舞鶴市、南丹市、亀岡市、京丹波町、京都市右京区なども府の避難基準や屋内退避基準以上になり、府の南部も屋内退避が必要な可能性があるとの結果であり、京都府が地元とされないことは到底納得できません。

7.過酷事故時の府民の飲料水や避難路の確保ができていない
もし若狭の原発群が大きな事故を起こした場合、避難や飲料水確保をはじめ、京都府民に大きな困難と被害が生じるおそれがあります。

これらのような大きな問題があるにもかかわらず、政府が科学的な安全確認を軽視して、「政治判断」で大飯原発3・4号機の再稼働を行うことは、京都府民として耐え難い暴挙です。
そして京都府知事が国に対して再三にわたって大飯原発再稼働の慎重な判断を求められ、さらに京都府議会が国に対して、大飯原発再稼働の慎重な判断を求める意見書を可決したにもかかわらず、京都府の意向を無視して再稼働を政治判断するなどということは認められません。

以上のことから、私たちは京都府に対して、次のことを強く要望いたします。

(1)国に対して、京都府知事の意志と、京都府議会の意見書を重く受け止め、いまだ福島原発事故の原因究明すらなされていないというのに、拙速で無責任な「政治判断」で、大飯原発3・4号機を再稼働しないように、強く求めてください。
(2)国に対して、再稼働の判断をする前に、京都府を「地元」と認めるよう、強く求め、国が守ろうとしない私たちの命・健康を守ってください。
(3)関西電力に対して、再稼働する前に、京都府と立地自治体並みの安全協定を結ぶよう、強く求めてください。
(4)大飯原発で過酷事故が起きた場合の放射性物質拡散予測
も、早急に実施して公開してください。そして、その結果が出る前に再稼働の判断をしないよう、国に対して強く求めてください。
(5)国に対して、拙速な再稼働ではなく、福島第一原発事故の一刻も早い原因究明と、事故の収束、放射能汚染による健康被害への対策、事故の被害者への賠償が早急になされるよう、強く求めてください。
(6)関西電力に対して、夏場に本当に電力が不足するのか、府民に情報公開を行うよう、強く求めてください。
(7)先日の報道で、知事が今月中にも原子力安全・保安院から大飯原発3、4号機の評価結果などの説明を受けるとのこと
ですが、その場を、直接的な被害を受ける京都府民が参加できる公開の場とし、質疑応答の時間を設けてください。

2012年3月26日

大飯原発3・4号炉の再稼働を案じる京都府民 有志 165名