まちの節電、こんなことできるはず13 | 認定NPO法人 環境市民

まちの節電、こんなことできるはず13

このコーナーは,2002年から2013年まで環境市民の事務局長を務めた堀孝弘が,在職時に書いたブログを掲載しています。

衝撃の内容かも! 「ピークカット機能」は機能しているの? 今夏、消費電力大幅削減を実現した飲料自販機の例から

 

9月に入り、飲料自販機をオフィスの敷地に設置している事業者(以下、設置者)から、8月の消費電力が前年同月比67%減になったというお知らせを頂戴しました。7月も62%減。昼間だけでなく夜間照明も消灯されていましたが、消灯だけで、60%もの消費電力削減ができたとは思えません。

設置者に確認すると「昼間は内蔵のコンプレッサーが2〜3時間自動で停止するなどの省エネ設定になっている」との返事をもらいました。しかしながら、昨年もそのようになっていたら、前年と比べて、ここまで消費電力が減ることはないはずです。

設置者が自販機ベンダー(自販機を設置し中味の商品を供給する会社、以下、ベンダー)に問い合わせたところ、飲料自販機の省エネモード、平常モードは設置者側で決められるとのことですが、設置者はまったくその点ノータッチです。昨年は平常モード、今年に入って省エネモードに切り替えたことで、これだけ省エネが実現したと思われます。

この飲料自販機の設置は2008年です。設置の際、ベンダーは省エネ設定にしてくれてなかったの? という疑問が湧きます。この点、電気代は設置者負担ですから、平常モードであってもベンダーの負担が増えるわけではありません。この場合、たまたま自販機用の電源を他と独立させ、別料金になるようにしていたので、今年と昨年とで、消費電力と電気代が大きく違うことがわかりました。しかしながら、設置から3年間、この設置者は高い電気代を払わされていたわけです。

 

さてさて。
日本自動販売機工業会は、大震災の後、特に東京電力管内で計画停電の実施が取りざたされた際、「街角にいっぱいある自販機が、大量のエネルギーを消費しているのではないか」との指摘を受けて、4月11日「夏場の電力供給不足への対策」と題した声明を出しました。そのなかに下記の説明がありました。

 

『 缶・PET清涼飲料自販機は、7~9月の3ヶ月間の平日は、電力需要の少ない午前中から午後1時に商品を冷やしこみ、午後1~4時の3時間は冷却機の運転を停止するピークカット機能を有しています。照明も消していますので、この3時間に使用する電力は、紙幣や硬貨の識別などに使用する微量の電力と待機電力のみで、1台あたり17Wに過ぎません。

ピークカット機能は、自販機に内蔵されるマイコンでカレンダー制御され、出荷時設定となっています。この機能を市場で解除することはできません。
現在、全国の缶・PET清涼飲料自販機は全てピークカット機能付のエコベンダーになっています。』

 

あれ! この説明と上記の事例は食い違っています。「ピークカット機能は出荷時設定で、市場で解除できない。」はずなのに、今年どうして消費電力が前年比60%減になった飲料自販機があるのでしょうか?

ひょっとして、まだまちなかには、数年前に設置され、ピークカット機能を有していながら、その機能を発揮していない飲料自販機があるのではないでしょうか。ベンダー各社が総点検をするよう、日本自動販売機工業会は促すべきではないでしょうか。

《 写真は本文と関係ありません。京都・河原町通蛸薬師下る 坂本龍馬・中岡慎太郎遭難の碑の横に立つたばこ自販機。両名が襲撃された近江屋跡は、現在コンビニエンスストアになっている。 》