21世紀、地球を、地域を、生活を、持続可能な豊かさに
環境NGOはなぜ必要か
文:杦本 育生
環境問題の解決には、政府、自治体、政治家、専門家、などが果たす役割に大きなものがあります。しかし、まかせておけば解決するわけではありません。むしろ、行政や専門家と同様にあるいはそれ以上に、市民と企業の役割には重要なものがあります。
なぜならば、これまで見てきたように、環境問題は、その原因が私たちの生活や産業活動にあり、またその影響も私たちの生活や産業活動に及ぶ重大なものであり、今後ますますひどくなると考えられているからです、つまり私たちは加害者でもあり被害者でもある、当事者であるわけです。
しかし、一人一人の市民が環境問題に取り組むには、いくつかの障害があります。例えば、一人のできることは個々には限られていること、社会への影響力が小さいこと、具体的な活動方法や科学的なまたは政策的な情報などを手に入れるのが難しいことなどがあります。そこで市民が、お互いの思い、力、時間などを結び付けて、より行動しやすく社会への影響力も大きくしようと集まってグループになったのが環境市民団体です。最近は環境NGO(NGO=非政府団体の意味で国連で使われたのが最初)と呼ばれることが多くなりましたが、これは地球規模の環境問題を扱うなどその活動に国際性が大きくなったためです。